FBS開局50周年記念
ジブリの大博覧会~ナウシカからマーニーまで~
2019/03/15(金) 〜 2019/06/23(日)
09:30 〜 17:30
福岡市博物館
2019/04/11 |
福岡市博物館で開催中の「ジブリの大博覧会~ナウシカからマーニーまで~」には、今回初めて公開された目玉展示がある。映画「風の谷のナウシカ」に登場する猛毒の生態系「腐海(ふかい)」をイメージしたコーナーだ。薄暗い部屋に一歩踏み込むと巨大なダンゴムシのような「王蟲(オーム)」など腐海の奇怪な生物たちが迫ってきて、ナウシカの世界に迷い込んだ気分になる。
腐海とは、未来の最終戦争で滅亡した都市の跡に出現した人の住めない森。猛毒を噴き出す巨大なキノコに似た「ムシゴヤシ」などに覆われ、ガスマスクなしでは踏み込めない。生息しているのは昆虫が巨大化したような「蟲(むし)」たちだ。
その代表がコーナー中央の王蟲。全長約8・5メートル、高さ約3・8メートル。とげのある硬い殻で覆われた体にドーム状の14の目が光る。高い知能を持ち、目が青から赤に変わると怒りのサインだ。
「蟲の中で最も強く、物語の鍵を握る存在」。制作した造形家の竹谷隆之さんは、展示のメインにした理由をそう語る。木や鉄で骨格を組み、繊維強化プラスチック(FRP)のボディを作るのに8カ月かかった。とがった脚、無数の突起。細部までリアルだ。
周りの蟲もすごい。ムカデに羽が生えたようなヘビケラは紫の体を絡ませ合い、鉄を砕く歯を持つウシアブがこちらを威嚇する。文書やポスターが多い博覧会で異質の展示。「人間がいてはいけない世界を作りたかった」。ムードを高めるため、「最初は入場者にマスクを配ろうかと思った」と竹谷さんは笑う。
恐ろしげな王蟲にヘビケラ、かわいいトトロにポニョ。宮崎駿監督の描くキャラクターのタイプはさまざまでとてもユニークだ。一体どうやって思いつくのか。ジブリの代表取締役プロデューサー、鈴木敏夫さんが14日の開会式で秘密の一端を明かしてくれた。
「ナウシカの舞台のモデルは実は(鹿児島県の)屋久島。宮崎監督はあそこを歩き回って王蟲を思いついたんです」
アイデアの源泉は徹底した自然観察だった。コーナーの最後に飾られた昆虫の大きな写真パネルを見ると、蟲たちとの相似性がはっきりする。だからこそ生まれるリアリティー。東京大学名誉教授で解剖学者の養老孟司さんは「嘘だけれど『ニセモノ』ではない」と評した。その魅力を会場で確かめてほしい。(文・三村龍一、写真・古賀亜矢子)=3月21日 西日本新聞朝刊に掲載=
2024/11/09(土) 〜 2025/01/12(日)
福岡アジア美術館
2025/01/21(火) 〜 2025/05/11(日)
九州国立博物館
2024/10/31(木) 〜 2024/11/25(月)
大丸福岡天神店 本館8階催場
2024/09/07(土) 〜 2024/11/24(日)
つなぎ美術館
2024/10/26(土) 〜 2024/12/01(日)
九州芸文館