江口寿史展
EGUCHI in ASIA
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福岡アジア美術館
2019/08/14 |
福岡市中央区渡辺通3丁目で「3丁目芸術学校」を主宰する美術家田部光子さんが7月中旬、トークショーを開いた。1950~60年代に「九州派」で前衛芸術の限りを尽くし、以後も第一線で走り続けた33年生まれの大ベテラン。持ち前の歯に衣(きぬ)着せぬ弁舌でこれまでの歩みを振り返り、会場を沸かせた。
兄に勧められ絵を始めた田部さんは、「おまえの方がうまいと褒められ絵描きになった」。57年から参加した九州派に話が及ぶと、当時の熱気を思い出したのかトークにも力がこもった。「荒くれ者ばかりで、いつも酒を飲んでは議論をし、けんかになった。警固公園(福岡市)で座っていたら、目の前に(メンバーの)オチオサムが投げ飛ばされて落ちてきた」
当時、田部さんはグループの会計を担当。「男は飲んでお金を使ってしまうから私が管理した。だから九州派は続いた。私で持っていた」と胸を張った。
妊娠をきっかけに61年、代表作の一つ「人工胎盤」を発表。マネキンの腰の部分を切り取りさまざまな物質を貼り付けた作品は、後にフェミニズムの文脈から高い評価を受けた。「人工胎盤があったら楽だろうな、自分で子どもを抱えんでいいし。という単純な理由」が発案の背景だったと明かした。
90年代からニューヨークでも個展を開き好評を博したという。彼の地でも並べたもう一つの代表作、リンゴをモチーフとした作品群は、ある日、何気(なにげ)なく見たリンゴに「これは宇宙かな。宇宙がその辺に転がっとる」とほれ込み、手掛けるようになった。その一方、「リンゴは絵になるが、一生をかけたテーマではない。もう何ともできん。才能がない」とも語った。
トークでは一貫して「思いつき」「アイデアが出てきたら即実行」と繰り返した田部さん。九州派メンバーの影響を色濃く受け、軽やかな反射神経で時代を駆け抜けた美術家の核心が垣間見えた。 (藤原賢吾)=8月5日西日本新聞朝刊に掲載=
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