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必見!福岡の花屋集団・伝巧節花と「ルドルフ展」とのコラボ・パフォーマンス 【インタビュー】

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大迫章代
2017/10/23
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11月3日(金・祝)から福岡市博物館で開催される「神聖ローマ帝国皇帝ルドルフ2世の驚異の世界展」。期間中、12月3日(日)には、福岡市の花屋集団、伝巧節花(デンコウセッカ)によるフラワーライブパフォーマンスが行なわれます。
伝巧節花とは、福岡の花屋オーナーが集まり結成した5人のフラワーパフォーマンスグループ。これまでの華道や花展とは異なるスタイルで“花活け”をパフォーマンスにしてしまった彼らの目的とは?今回のパフォーマンス、“「伝巧節花」驚異の世界スペシャルver.”への抱負を交えて話を聞きました。


低迷する花業界に一石を投じたい

  「伝巧節花を結成したのは、低迷を続けている花業界を盛り上げたいという想いからでした」というのは、DOUBLE CROWN(中央区白金)のオーナーで、伝巧節花のリーダーでもある猪俣悟さん。福岡は、全国で3位の花の生産地、にもかわらず消費は全国でも下から2番目。さらに花業界自体が尻すぼみになっていて、福岡に限らず花業界を盛り上げようと、いろんなところでいろんな試みが行なわれているのだそうです。ただ、「そのどれもが、そんなことをやっても盛り上がるわけないよね、ということばかり。コンテストをしたり、街で花を配ったり、フラワーフェスタを開催したり、今も現在進行形で行なわれているキャンペーンでは、花の消費量は増えないし、売り上げに反映されません。そこで、花に興味がない男性や子どもでも楽しんでもらえるものを」と発想したのがフラワーライブパフォーマンスでした。


“福山雅治、木村拓哉理論”を花屋業界にも

 発想の原点は、かつて木村拓哉がドラマ「ビューティフルライフ」で美容師を演じたことがきっかけで起こった美容師ブーム。ひとつのドラマがきっかけで、“カリスマ美容師”という存在が生まれ、美容業界のイメージはがらりと変わったそうです。「お金があれば、福山雅治さんや、木村拓哉さんにお願いして、花屋を主人公にしたドラマを作ってもらえばいい。でもそれは無理なので、低予算でもかっこよく見せられるパフォーマンスを自分たちでやることにしました。そもそも、花屋の売り上げが落ちた理由は、花屋が季節の花や、花の名前をお客さんにちゃんと告知して来なかったから。パフォーマンスを通して、花の魅力を伝え、花とみんなの距離感を縮めたいと」と猪俣さん。

今年9月に行なわれたフラワーパフォーマンスライブ、伝巧節花「たかが花屋されど華屋Vol.2」より

 

“たかが花屋されど華屋”

 伝巧節花に参加する5人は、それぞれ“花”と“モノづくり”が好きで花屋を始めた個性あふれる面々。「自分たちが好きで花屋を始めていることもあり、自分たちの力で上っていくしかない」、つまり、いわゆる二代目的な指向とは違うといいます。ライブで彼らが見せる“花活け”のパフォーマンス、その視線、その一挙手一投足から、彼らの“花への情熱と想い”が伝わってきます。

演目「人間たちへ」
演目「実験室 Vol.2」完成図

5人全体や2人や3人のユニットで行なう演目のデザインや演出を担当しているのが猪俣さんです。「実際、1演目は5~6分くらい。普通に作れば30分~1時間ほどかかる花を5分くらいで作るのですから、技術的に複雑なことをやっているわけではありません。ですから、パフォーマンスも花のデザインというより、花を作るときの立ち振る舞いやフリなど、動きの方を細かくデザインしています。練習は1か月くらいですが、実際に花を持って練習するのは直前の2~3日ほど。それでも、パフォーマンスがばっちり決まるのは、5人それぞれの花屋としてのキャリアと、ワンツーで通じるという信頼感があってこそです」。

演目「静かな船」
短い時間の中で、あうんの呼吸で作品を作り上げていくメンバーたち

 

「伝巧節花」驚異の世界スペシャルVer.の見どころは?

 これまで2016年11月、2017年4月、9月と3度のパフォーマンスを行なってきた伝巧節花。次回の『「伝巧節花」驚異の世界スペシャルVer.』ではどんなものを見せてくれるのでしょうか?

「これまでの演目をベースに、ルドルフ展に合う新しい演目もいくつか入れようと思っています。楽曲もこれまでの和っぽい曲から洋風のものに変える予定です。ただ、作品についてはまだ構想中です。実際に、アルチンボルドが描いたようなルドルフ2世の肖像画は生花で再現することも可能ですが、生花自体の色味ではどうしてもあの絵のようなニュアンスは出ない。それに、この絵をそのまま再現しても、芸がないというか、感動がないなとも思っています。今回は僕らを知らないお客さんに、パフォーマンスを見ていただけるまたとないチャンス。時間がいつもより短く、演出的には難しい面もありますが、メリハリを大切に、単純に見て楽しんでいただけるステージにしたいと思っています」とリーダーの猪俣さん。

ジュゼッペ・アルチンボルド≪ウェルトゥムタスとしての皇帝ルドルフ2世像≫


メンバーのみなさんにもそれぞれ抱負と見どころを語ってもらいました。

 

THE MANGROVE 代表/勝野剛さん

「パフォーマンスでは、普段は見られないお花屋さんの裏ワザとか、手先の動きを見れるのも面白いと思います。思ったより作るのが早かったりしますから」。

GARGOYLE 代表/松下大志さん

「いつも完成形で飾られている花がイチからどう作られていくのか、出来上がっていく過程を見て、花に興味がなかった人にも興味を持っていただきたいですね」

October―Crutch Flowers 代表/村上康平さん

「ナチュラルに見て、直観で楽しんでほしい。僕らは、普段は花屋ですが、ステージに立つ時はパフォーマーという自覚を持って、ちゃんと練習し、観る人を楽しませる努力をしたいと思っています」

DOUBLE CROWN フラワーデザイナー/大内田美紀さん

「ライブでは、技術というより、動きに気をつけてやっています。練習と違うこともありますが、本番の臨場感ごとお客様に楽しんでいただければ」

DOUBLE CROWN 代表/猪俣悟さん

「花屋の仕事は、人を感動させてなんぼ、だと思っています。そのために、パフォーマンスのクオリティも上げていきたい。重要なのは、僕らのパフォーマンスがどう広がっていくか。ルドルフ展でイベントを見てくれた人の10%でも20%でもの人が花に興味を持ってくれ、それが後の花業界の活性につながっていけばと思います」

 

福岡市内の熱き花屋集団・伝巧節花が、ルドルフ展と共鳴し、どんな“花活け”パフォーマンスを見せてくるのか?いまから楽しみ。ぜひみなさんもこの機会に体験いただきたい。

フラワーライブパフォーマンス、「伝巧節花」驚異の世界スペシャルver.は、12月3日(日)14:00~15:00、福岡市博物館1F講堂にて開催。

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