福岡城 チームラボ 城跡の光の祭
2017/12/01(金) 〜 2018/01/28(日)
18:00 〜 22:00
舞鶴公園 福岡城跡
アルトネ編集部 2017/12/19 |
夜の福岡城跡を光のデジタルアート空間に変える「福岡城 チームラボ 城跡の光の祭」が福岡市の舞鶴公園で2018年1月28日(日)まで開かれている。約2万平方㍍の会場に、史跡や木々などと最新のデジタルテクノロジーを融合させた5作品が点在。見て、聞いて、触れられる幻想的な〝光の祭〟が訪れる人を魅了している。
デジタルアートを使ったイベントを国内外で企画するデジタルアート集団「チームラボ」代表の猪子寿之さんに今回の見どころを聞いた。
―今回の展覧会のアートプロジェクト「Digitized Nature, Digitized City 自然が自然のままアートになる、街が街のままアートになる」とは、どのような取り組みですか。
猪子:チームラボは日本各地で同プロジェクトを展開しています。これは、デジタルテクノロジーを使い、自然や街の一部を物理的に変化させることなくアート空間にする試みです。例えばレストランやホテルなど、今の日本は都市機能の国際競争力が低下していると言わざるを得ません。一方、都市部の近郊には素晴らしい自然が残る場所、長い歴史や独特の文化を持つ場所など、価値あるスポットが多数あります。これは世界の中でも特異で珍しいことです。その場所の魅力を引き出し、拡張することができたら世界の注目を集められると思いプロジェクトを立ち上げました。
―会場に福岡城跡を選んだ理由を教えてください。
猪子:福岡城跡を初めて訪れたとき、石垣の大きさに圧倒されました。遺跡が好きで、各地の城跡にも足を運びますが、これほど大きなものはなかなかありません。1601年から7年かけて築かれた福岡城は当時九州一の大きな城で、「石の城」という別名もあったそうです。人の手が加えられていない石垣の石と石の間はたくさんの隙間があります。コンクリートを詰めてきれいに復元されたものよりも、この隙間のある石垣の方が400年という年月を私たちに伝えているような気がします。「人の営みがずっと続いてきたから今がある」と長い時間の連続性を感じ、この石垣を中心としたアート空間をつくりたいと思いました。
―今回の企画で新たにチャレンジしたことは。
猪子:石城跡の作品「呼応する、たちつづけるものたちと木々」の卵形の物体〝たちつづけるものたち〟と〝呼応する木々〟〝周りの城壁〟はもともと独立した三つの作品でした。それを今回は一体化させたり、互いに連動させたりして作品の境界をなくしました。天守台に登ると、そこにいる人々、そこから見える歴史的な遺跡と木々、卵形の作品、福岡の街が一体化した風景が出現します。
―福岡の人たちにどのような体験をしてほしいですか。
猪子:本丸跡に置いている卵形の物体〝たちつづけるものたち〟に触れると色が変わり、周りの物体にも光が伝播していきます。その光は周辺の木々にも移り、本丸跡にいる人には見えないのですが、最終的には本丸を支えていた約630㍍の石垣へ波及していきます。また本丸跡で誰かが触った球体の光が、押し寄せてくる場所もあります。それはつまり「今ここに生きている人たちが、何か行動を起こすことで、今も昔も変わらずある木に光りがともり、さらに400年前に作られた石垣が光り輝く」ということ。400年前にできた遺跡、変わらない自然、生きている人々が連続して広がっていくのです。会場には何カ所か光の連動が見える場所があるので、探してみてください。人、歴史、自然、現代、都市の境界がなくなって完成するのが「福岡城 チームラボ 城跡の光の祭」。自由に想像したり、他人と一緒に世界をつくったりする楽しさ、おもしろさを感じてもらいたいです。
チームラボ代表 猪子寿之
1977年生まれ。2001年東京大学計数工学科卒業時にチームラボ設立。チームラボは、プログラマ、エンジニア、CGアニメーター、絵師、数学者、建築家、ウェブデザイナー、グラフィックデザイナー、編集者など、デジタル社会の様々な分野のスペシャリストから構成されているウルトラテクノロジスト集団。アート、サイエンス、テクノロジー、クリエイティビティの境界を越えて、集団的創造をコンセプトに活動している。
https://www.teamlab.art/jp/
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