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‟最後の浮世絵師“の絵心が咲き誇る 月岡芳年の多面的な魅力 芸文館で12/1(日)まで

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アルトネ編集部
2024/11/23
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 幕末から明治へと移り変わる激動の時代に活躍、師である歌川国芳の自由な発想を継承しつつ、西洋画の技法を取り込み、独自の画境を切り開いた月岡芳年(1839-1892)。
 九州芸文館において、現在、「最後の浮世絵師 月岡芳年展」(12月1日(日)ま で)が開催されています。

展示入口を飾るのは、西郷隆盛が中央に描かれた西南戦争の一場面。
鮮やかな色彩で緻密に描かれたワイドスクリーンの迫力

 凄惨な殺しの場面を描いた「血みどろ絵」、谷崎潤一郎や三島由紀夫といった近現代の文士への影響、さらには芳年自身が憂鬱症を患っていたことなどから、これまでデカダンな魅力に焦点が当てられること多かった芳年ですが、本展では、武者絵や美人画、軍記物や説話、怪談をテーマにした作品といったさまざまなジャンルの作品約150点が揃います。

鮮やかな壁面には芳年作品がずらり。
鮮やかな色彩と墨白のコントラスト、泡色のグラデーションが艶やかに映る展示会場

 展示構成は6章仕立て。
 師である国芳と西洋画の影響をともに見せる「芳年の壮」、イメージ豊かな怪談や説話の一場面が並ぶ「芳年の想」、続いて、芳年の魅力の最骨頂、ダイナミックかつ洗練された構図が浮き立つ「続物の妙」と章立てが続きます。
 

タイトルにびっくり。聖母子像さながらの、「山姥 怪童丸(金太郎)」。表現も西洋画風
妖怪画でも人気が高い芳年。不気味な老婆を美しい線と色調で描き出している
細部に注目。老婆の衣には空摺りで凹凸模様が施されている
「南総里見八犬伝」の一場面。紙を2枚連結した迫力ある縦長画面。
遠近法を用いたダイナミック構図、鮮やかな色彩で緊張感ある画面が作り出されている

 さらには、美人画がずらり立ち並ぶ「芳年の妖と艶」、情報メディアとしての浮世絵のあり方を紹介した「報道」、最終章では、ドラマチックかつ静謐さも感じさせる晩年の連作で、芳年芸術の代表作と名高い「月百姿」が並びます。

(左)日刊紙の記事から好奇心を刺激するネタを錦絵新聞に。中には鮮血ほとばしる残酷な場面も
(右)美人画シリーズ《風俗三十二相》。「寒そう」「眠そう」等の設定で表情豊かに描き分けている
「月百姿」シリーズ。ドラマチックかつ静謐さを感じさせる作品が並ぶ

 会場には、類まれな描写力、画面構成力を持つ絵師・芳年だからこそ描くことのできた、イメージの強さや情緒、面白味溢れる作品がずらり並んでいます。
 目の前に展開される1枚は大きなものでも縦40cmに満たない作品(連版除く)ですが、そのスケールの大きさや緊張感に圧倒されるのではないでしょうか。

 「今回展示されている作品群は、月岡芳年という最高の絵師、そして、最高の技術力を持つ彫師や摺師がいた時代だからこそ生まれた、浮世絵の最高峰です。これだけの質と量、そしてバラエティを揃えたコレクションを多くの方に見ていただきたいです。」と学芸員の方。

 展示は12月1日(日)までです。ぜひご覧ください。
 

最後の浮世絵師 月岡芳年展
会期:2024年10月26日(土)~12月1日(日)
開場時間:10:00~17:00
会場:九州芸文館(筑後市大字津島1131)
問い合わせ:0942-52-6435
詳細は公式HPご覧ください。

 

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