明治150年記念 特別展
オークラコレクション
-古今の美を収集した、大倉父子の夢-
2018/10/02(火) 〜 2018/12/09(日)
09:30 〜 17:00
九州国立博物館
木下貴子 2018/11/29 |
九州国立博物館にて開催中の展覧会「オークラコレクション」(12月9日(日)まで)レポート記事の番外編! 11月4日に開催された「オークラウロ・コンサート~男爵・大倉喜七郎が作った楽器『オークラウロ』を九博で演奏~」の様子をお届けします。
オークラウロという楽器の名前を初めて耳にする方も多いのではないでしょうか? オークラウロとは、尺八の歌口とフルートのキー装置を合わせ持つハイブリット管楽器で、大倉財閥2代目総師・大倉喜七郎氏によって考案・制作されました。本コンサートの司会・解説を務める大倉集古館主任学芸員・田中知佐子さんによると、当時、上流の紳士たちの間では尺八が流行しており、音楽を趣味にしていた喜七郎氏も尺八を得意としていたといいます。ケンブリッジ大学に留学し西洋音楽の素養もあった喜七郎氏は、西洋音楽を尺八の音色で演奏できないかと考え、このオークラウロを開発したそうです。
喜七郎氏は養成所を作るなど、オークラウロの普及に努めましたが、戦後の混乱した時期と重なり定着しないままに終わりました。ゆえにオークラウロは「幻の楽器」ともいわれていましたが、喜七郎氏の50回忌を前にした2011年に大倉集古館にてオークラウロを検証する展覧会が開催され、その時に始めたオークラウロ再生プロジェクトをきっかけに、再び演奏されるようになりました。
幻の楽器・オークラウロが復活して7年の間に、コンサートが開かれたりCDアルバムが作られたりと普及に向けた活動が続けられてきましたが、九州での演奏は今回が初めて。いったいどのような音色が聴けるのでしょうか。静かな熱気を帯びはじめたタイミングで、いよいよ演奏が始まりました。
まずオークラウロとマンドリンで最初の曲アイルランド民謡『庭の千草』が演奏され、続く唱歌『富士山』はオークラウロとヴァイオリンで演奏されました。初めて聴くオークラウロは、フルートのように軽やかで優しく、それでいて低音域は深くずっしり響く。フルートでも尺八でもない不思議な音色です。
本日の演奏は小湊昭尚氏(オークラウロ)、大河内淳矢氏(オークラウロ)、土屋雄作氏(ヴァイオリン)、齋藤純一氏(ギター)。4人ともみな尺八の演奏者として活躍し、そしてオークラウロに出会ったといいます。小湊氏に至っては、7年前の最初の再生プロジェクトから参加する初期メンバーです。
メンバー紹介の後、「福岡にちなんだ曲を2曲続けてお聴きください」と小湊氏。井上陽水/安全地帯『夏の終わりのハーモニー』と松田聖子『SWEET MEMORIES』が演奏されました。2曲ともポピュラーで馴染みある曲ですが、オークラウロに合わせて軽やかかつ優雅にアレンジされ、ひと味違った魅力を放ちます。
続いての演奏は九州の民謡より『五木の子守唄~おてもやん~黒田節』です。先ほどもそうですが今回のために、この地に縁ある曲を入れてくれたところが心憎い。「今日のために初めてアレンジしましたが、オークラウロにも合うと改めて思ったので、東京にも持ち帰りたい」という小湊氏の言葉もあわせ、観客の心をぐっと引きつけます。
後半は、10月3日にリリースされたばかりの3rdアルバム『オークラウロ 蘇る幻の笛 はるかな旅路』より4曲が演奏されました。ホテルオークラのテーマ曲として喜七郎氏が活躍した時代をイメージしたオリジナル『旅標 –The Theme of the Okura-』、当時船でヨーロッパなどを訪れた喜七郎氏の旅路に思いを馳せたナポリ民謡『サンタ・ルチア』とオリジナル『サウダージ -月光の海-』。最後に選んだオリジナル『はるかな航路』はアルバムでもリストの最後の曲ですが、「ゼロからのスタート、次に続くようなイメージをもった曲です。オークラウロも続いていくようにとの思いも込めています」と小湊氏。
盛大な拍手に包まれ演奏は終わりとなりましたが、拍手は鳴りやみません。アンコールで再び4人が登場し、往年の名曲『My Blue Heaven』を演奏。客席からも手拍子が湧き、会場に一体感が生まれました。
コンサート終了後はCDアルバムの販売とサイン会が開催。こちらも盛況でした。
九州国立博物館特別展「オークラコレクション」はいよいよ12月9日(月)まで。お見逃しなく!
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