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マンモス展から 永久凍土を掘る<中>【連載】

2020/01/15 LINE はてなブックマーク facebook Twitter

福岡市科学館で開催中の「マンモス展」の見どころを3回に分けて紹介する。

 

 アフリカで出現した現生人類が、日本列島に到達したのが3万8千年前とされる。「マンモス展」では、その頃のシベリアに生息していた古生物の標本18点が紹介されている。目玉の一つはマンモスの鼻だ。
  褐色の分厚い皮膚にベージュの毛が生え、鼻の穴までくっきり見える。ロシア北東部のサハ共和国で2013年に出土し、放射性炭素年代測定で3万2700年前のものと判明した。ロシアの特別重要文化財であるこの鼻が一般公開されるのは世界で初めてだ。

世界で初めて一般公開された3万2700年前のマンモスの鼻


  「体の軟組織は、腐ったり動物に食べられたりするが、永久凍土で凍結保存され奇跡的に残ったと思われる。大人のマンモスの鼻全体が出土したのはこれが初めてだ」。マンモスに詳しい野尻湖ナウマンゾウ博物館(長野県)の近藤洋一館長は強調する。
  寒冷ながら雪が少なかったシベリアは草原が広がり、草食のマンモスは鼻先で器用に草をむしり食べていた。展示標本は、そんなマンモスの暮らしぶりをほうふつとさせる。
  会場には、マンモスを含め世界初公開が5点並ぶ。このうちバイソンやライチョウなど、ほぼ完形をとどめた保存状態には目を見張る。渓谷に転落したり沼で死んだりして、永久凍土で凍結されたとみられる。

バイソン(奥)、子イヌ(手前左)、ライチョウの冷凍標本。いずれもほぼ完全な形をとどめている


  永久凍土とは2年以上にわたり氷点下の温度を維持している地盤のことで、シベリアやアラスカやカナダ北部に広がっている。近年、温暖化の影響などで融解した永久凍土から古生物の出土が相次いでいる。そうした地球環境の変化についてもパネルにまとめて展示している。 (大淵龍生)=1月8日西日本新聞朝刊に掲載=

 

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