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「白馬のゆくえ」展みどころ② 小林萬吾を通して日本洋画を楽しむ1

2020/07/11 LINE はてなブックマーク facebook Twitter

 久留米市美術館で開催されている特別展「白馬のゆくえ 小林萬吾と日本洋画50年」(~2020/8/23[日])では、洋画黎明期に学んだ小林萬吾(1868−1947)の50年におよぶ画業と、彼がめぐりあい、ともに日本洋画の歴史に名を刻んできた個性豊かな洋画家たちの名作の数々を紹介しています。本展のみどころを、久留米市美術館の方々から、数回にわたって紹介していただきます。

1回目はコチラ

*****

 展覧会には、小林萬吾の作品が22点出品されています。それらは、1892(明治25)年、萬吾24歳の頃の作品から、1939(昭和14)年、71歳の頃の作品まで、まさに50年間に及びます。その間、萬吾の画風も描くテーマも変わっていきます。展覧会では、萬吾作品と他の画家の作品が響き合うさまを見ることができます。それも展覧会の楽しみ方のひとつでしょう。ここでは、そのいくつかをご紹介します。

小林萬吾《農夫晩帰》1898年 東京藝術大学
湯浅一郎《漁夫晩帰》1898年 東京藝術大学

 小林萬吾の《農夫晩帰》では、農夫と農耕馬が縦構図に、湯浅一郎の《漁夫晩帰》では、漁夫一家が横構図に納められています。縦長と横長、一人の人物と複数の人物という違いはありますが、一日の労働を終えて家路につくシーンが描かれている点は共通しています。いずれも、東京美術学校卒業制作であるとともに、同じ第3回白馬会展で発表された作品でもあります。夕暮れの光が人物を優しく包み込み、農村や漁村の生活者に向けられた画家の温かい眼差しが感じられます。東京美術学校の同級生でもあった二人は、制作中の作品を見せ合い、語り合うこともあったにちがいありません。

 とは言え、2点の作品は、光の表現方法が大きく異なります。萬吾の作品では、柔らかい光が背景を明るく照らす中、ほおかむりをしキセルをふかす農夫の顔だけが暗く陰になり、その疲労感を強調しています。一方、湯浅の作品では、まぶしそうに目を細めた女性、人物の顔の陰影の描き分け、さらに長く延びた影の描写などから、日差しの強さが伝わってくるようです。ここでは光の差す方向が明確に表現されています。

 夕暮れの景と言えば、和田英作の《渡頭の夕暮》も展覧会でごらんいただけます。

(久留米市美術館副館長兼学芸課長 森山秀子)

※第3回につづきます

 

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