江口寿史展
EGUCHI in ASIA
2024/11/09(土) 〜 2025/01/12(日)
福岡アジア美術館
2020/07/15 |
日本書紀が編さん1300年を迎えた。国の成り立ちを記した歴史書には、博多湾近郊や北部九州を主に指す「筑紫」が登場する。福岡市博物館で開催中の企画展は、日本書紀に記される「筑紫」がテーマ。考古資料など約30点を見渡しながら、その時代をたどる。
目を引くのは志賀島(同市東区)にある志賀海神社に伝わる縁起絵=写真。縦11.5メートルを超える14世紀の掛軸は、神功皇后が神託を受け、船で出陣する「新羅征討」が描かれる。日本書紀にも記載される征討には、神話的要素も多く含まれる。同時に編さんに際して、地方に伝わる伝承や中国の書籍などさまざまな資料が用いられたことも分かっている。担当学芸員の佐藤祐花さんは「当時の時代背景が反映される。史実ではない部分にも編さん者の意図を読める」と言う。
中央集権化、律令(りつりょう)国家の形成へと進んだ時代。大陸との玄関口である「筑紫」の役割にも変遷がある。
<筑紫国造磐井、陰(ひそか)に叛逆(そむ)く>。中央と地方との関係が変わる一つのきっかけである磐井の乱(527年)は、日本書紀には「筑紫」とともに記された。その後中央政権が博多湾岸に設置した官家(みやけ)も記述され、福岡市博多区の比恵遺跡群はその官家跡とみられる。時期が進むと官家は官衙(かんが)へと変わり、国家制度が整う中で水城、大野城が築かれ、外交拠点の筑紫館(つくしのむろつみ)(鴻臚館)も設置される。会場には、同遺跡群から出土した須恵器片や瓦などが並ぶ。
「日本書紀では節目ごとに『筑紫』が登場する。それをキーワードにすることで時代の流れを追える」(佐藤学芸員)。考古資料と文献資料をリンクさせ、日本書紀時代の「筑紫」を実感できる展示である。 (小川祥平)
◇「『日本書紀』の時代の筑紫」は19日まで。福岡市博物館企画展示室。一般200円など。
=7月10日付西日本新聞朝刊に掲載=
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