特別展
奈良 中宮寺の国宝
2021/01/26(火) 〜 2021/03/21(日)
09:30 〜 17:00
九州国立博物館
2021/02/28 |
九州国立博物館(太宰府市)で開催中の特別展「奈良 中宮寺の国宝」の見どころを同館の小泉惠英(よしひで)・学芸部長が5回にわたって解説します。
第1回目はこちら
経典納めた紙製の像
鎌倉時代の中宮寺は、わずかに金堂と塔だけを残すほどに衰えていたという。13世紀にこれを立て直したのが信如比丘尼(びくに)である。
信如は、聖徳太子の薨去(こうきょ)(死去)を悼んで飛鳥時代に作られた天寿国繡帳(しゅうちょう)を法隆寺の蔵から見つけ出し、修理をして新たに複製を作らせたことで名高い。現在残る天寿国繡帳は、二つの時代の作の残片をまとめたものである。
中宮寺にはとても珍しい仏像が伝わる。それがこの「文殊菩薩(ぼさつ)立像」である。一瞥(いちべつ)すると木造か金銅仏のようにみえる。実は、太巻きの2本の経典を体の中心とし、たくさんの経巻や文書を用いた紙製の仏像である。仏像の胎内に経文や宝塔などを納めること自体はさほど珍しくないが、全部を紙で作るのがこの像の最大の特徴といえる。
修理により、中の経や文書は取り出されている。納入物のうち、舎利(仏の遺骨)の包み紙に文永6(1269)年の年号と「信□」の文字が残る。
おそらくこれは、信如の名を記したとみてよい。信如が中宮寺に入ったのは弘長2(1262)年、それから7年後のことである。
頭部は五つの髻(もとどり)を結い、右手に剣、左手に経巻を持つ。童子形の可愛(かわい)らしい姿でありながら、切れ長の目に鎌倉時代に一般化する玉眼をはめたその風貌は、りりしさも兼ね備える。
信如によって堂宇の再建も急ピッチで進められたが、14世紀には度重なる火災により中宮寺は再び受難の時代を迎えた。(小泉惠英(よしひで)・九州国立博物館学芸部長)
=(2月24日付西日本新聞朝刊に掲載)=
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