江口寿史展
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福岡アジア美術館
2021/11/11 |
福岡市博多区の複合商業施設「キャナルシティ博多」にある計180台のブラウン管テレビに、博多人形や各国のニュースの断片的な映像が、絶え間なく映し出される。世界的なビデオアート作家、故ナム・ジュン・パイク氏の作品だ。1996年4月の施設開業に合わせて設置したが、経年劣化で壊れるテレビが増え、運営側が修復プロジェクトを立ち上げた。修復作業を終え、再び来訪者を楽しませている。
パイク氏は韓国ソウル出身の現代美術家。東京大卒業後、テレビやビデオ映像を駆使したアート制作で世界的に高い評価を受け、福岡アジア文化賞や京都賞などの受賞歴がある。2006年、73歳で死去した。
作品はガラス壁面に、テレビを縦10列、横18列に並べた。最先端のコンピューターグラフィックス(CG)を取り入れ、市民に強烈な印象を与えたが、長年使ったことにより、画面が暗いままのテレビも増えた。ブラウン管テレビの生産も終了した。「キャナルのシンボルをなくしたらいけない」と、17年に修復プロジェクトが発足。19年からは映像の上映を停止していたが、韓国でブラウン管テレビの部品を調達できることが分かり、今年8月の再開にこぎ着けた。
テレビの寿命を延ばすため、現在は正午、午後3時、同6時の1日3回に限定して1時間ずつ上映している。
プロジェクトに関わった溝口直美さん(54)は「パイク氏の作品としては国内で最大規模なので、よみがえって良かった」。ブラウン管特有の電気音や立体的に見える映像を作品の魅力に挙げ、「残す価値のある作品なので大切にしたい」と話した。 (星野楽)
=(11月7日付西日本新聞朝刊に掲載)=
◆ニュースサイト 西日本新聞meに動画が掲載されています。
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