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独眼竜が来た 福岡市博物館<上>            遺志守った両眼の肖像【コラム】

2022/10/14 LINE はてなブックマーク facebook Twitter
伊達政宗像 狩野安信筆 1676年頃(仙台市博物館所蔵)

 伊達政宗は1567年に奥州(現在の東北地方)の名門伊達家に生まれ、18歳で家督を継いだ後は合戦に明け暮れ、23歳で南奥州を制覇した武将です。その実力は天下人たちに一目置かれ、ついに仙台藩62万石を開きました。

 政宗は幼い頃に病で右目の視力を失い、勇猛さと相まって、後世独眼竜と呼ばれました。現在、黒い甲冑(かっちゅう)に眼帯の姿がテレビやアニメで定着していますが、江戸時代の彼の肖像に眼帯をしたものは見当たりません。むしろ政宗は体の一部の右目を失ったのは両親に対し不孝に当たるとし、肖像には両眼を描くように言っていました。

 1636年に70歳で死去し、後に藩主として威儀を正した束帯の像ができますが、政宗の遺志が守られ両眼が描かれています。しかも政宗が晩年の心境を詠んだ「馬上少年過」の漢詩が添えられ、戦国を生き抜いた英雄が後世に残した影響の大きさを教えてくれます。 (福岡市博物館学芸員・又野誠)

             ◇    ◇    ◇

 福岡市早良区の市博物館で特別展「独眼竜 伊達政宗」が11月27日まで開かれている。市博物館の学芸員がお薦めの展示品を紹介する。

=(10月14日付西日本新聞朝刊に掲載)=

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