
九州国立博物館開館20周年記念
特別展 九州の国宝 きゅーはくのたから
2025/07/05(土) 〜 2025/08/31(日)
09:30 〜 17:00
九州国立博物館
2025/07/11 |
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九州国立博物館(福岡県太宰府市、九博)の開館20周年を記念して開催中の特別展「九州の国宝 きゅーはくのたから」。九州・沖縄ゆかりの“お宝”を集めた会場では、刀剣にも注目してほしい。国宝8点に加え、あの「世界の王」が九博に寄贈した逸品も並ぶ。 (山上武雄)
日本古来の刀剣は武器にして美術品でもあり、主君が家臣に贈る褒美としても重宝された。九博の望月規史主任研究員は「刀としての出来栄えとともに、歴史上有名な人物との関わりが大きな価値を呼ぶ」と解説する。
福岡市博物館所蔵の国宝「太刀 名物 日光一文字」(展示は通期)は、1590年の豊臣秀吉による小田原攻めで、秀吉との和睦を仲介した礼として、北条氏直から黒田官兵衛に贈られた。鎌倉時代に備前国(岡山県)の一文字派の刀工によって制作され、「丁子(ちょうじ)乱れ」と呼ばれる華やかな刃文が特徴に挙げられる
同じく同市博物館所蔵の国宝「刀 金象嵌銘(きんぞうがんめい) 長谷部国重本阿(花押)/黒田筑前守 名物 圧切(へしきり)長谷部」(通期)は織田信長の愛刀。信長に粗相をして棚の下に逃げ込んだ茶坊主を手打ちにしようとした際、この刀を棚の下に差し入れ、押し当てて引き切ったという。切れ味のすごさと信長の気性の激しさを物語る逸話だ。中国攻めの策を進言した官兵衛に信長が褒美として与えた。
熊本藩主細川家伝来の文化財を管理する永青文庫(東京)所蔵の国宝「太刀 銘豊後国行平作」(前期)は、細川幽斎ゆかりの名刀で、鎌倉時代前期に活躍した豊後国(大分県)の刀工、行平の代表作だ。細身の刀身は柄に近い場所に反りがある「腰反り」が特徴で、優美さが漂う。
プロ野球福岡ソフトバンクホークスの王貞治会長が寄贈した「刀 銘九州肥後同田貫(どうだぬき)上野介(こうずけのすけ)」(通期)は、加藤清正のお抱え刀工だった同田貫派の初代正国(上野介)が手がけた。同田貫派は華美を抑えた質実剛健な作風で知られ、王会長の実直な人柄と重なってみえる。
多くの刀剣は秀吉の刀狩り、明治の廃刀令、そして戦後の連合国軍総司令部(GHQ)による武器回収と「3度の受難」を乗り越え、会場で輝きを放つ。望月主任研究員は「多くの人たちに守られ、現在に残っている価値も知ってもらいたい」と話す。
◆特別展「九州の国宝 きゅーはくのたから」 8月31日まで、九州国立博物館。西日本新聞社など主催、積水ハウス特別協賛。前期(8月3日まで)と後期(同5日から)で一部展示替えがある。観覧料は一般2000円、高大生1000円、中学生以下無料。月曜休館(祝日の場合は開館)。ハローダイヤル=050(5542)8600(午前9時~午後8時)。
=(7月11日付西日本新聞朝刊に掲載)=
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