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バルセロナの魅力に触れる/絵画、彫刻、家具…150点/長崎県美術館で企画展 【コラム】

2019/05/23 LINE はてなブックマーク facebook Twitter

バルセロナは、イベリア半島北東部にあるカタルーニャ自治州の州都。産業革命に伴い、1859年ごろから都市が計画的に拡張、近代化される。やがて工場が立ち並び、労働者家庭では子どもも低賃金で働いた。

その様子は、ジュアン・プラネッリャが描いた「織工の娘」から読み取れる。すり切れた服の少女が暗い工場で黙々と織機を操る。色白で表情に生気がない。明るく、情熱的なスペインの印象とはほど遠い。

ジュアン・プラネッリャ「織工の娘」(1882年、個人蔵)

建築需要の高まりを受け、世界遺産サグラダ・ファミリアの設計者アントニ・ガウディのような独創的な建築家が現れる。彼が手掛けた住宅建築カザ・バッリョーは奇抜な装飾の外観で知られるが、「大きな窓で光を取り込み、風通しを良くしたことで衛生的にも優れている」とカタルーニャ工科大のフェルナンド・マルサー教授は言う。この住宅の図面が本展に並ぶ。

アントニ・ガウディ「カザ・バッリョー、ファサード改装プラン」
(1904年10月26日の署名、バルセロナ現代文書館)

都市の発展とともに文化は華やかさを増す。1890年代に欧州で流行した多色刷りポスターはバルセロナでも好まれた。アラグザンドラ・ダ・リケーの作品「サロン・ペダル」は繊細な草花を背景に取り入れ、優雅な雰囲気を醸す。

アラグザンドラ・ダ・リケー
「サロン・ペダル」
(1897年、カタルーニャ美術館)
© Museu Nacional d’Art de Catalunya, Barcelona (2019)

芸術家たちはパリに憧れ、何度も足を運んだ。その一人、サンティアゴ・ルシニョルは、ルノワールも描いた有名な舞踏場ムーラン・ド・ラ・ギャレットを画題にしている。パリの人気キャバレーの影響を受けたルシニョルやラモン・カザスは、バルセロナにカフェ「4匹の猫」を開く。

サンティアゴ・ルシニョル「ムーラン・ド・ラ・ギャレットの入口」
(1891年、カタルーニャ美術館)
© Museu Nacional d’Art de Catalunya, Barcelona (2019)

カザスの作品で注目したのが、「オッペケペー節」で有名な博多出身の演劇人、川上音二郎の肖像。1902年のバルセロナ公演の際に描かれた。遠く離れた異国の作品が並ぶ会場で、親近感を抱かせる。

ラモン・カザス「川上音二郎の肖像」
(1902年、演劇美術館)

4匹の猫には多くの芸術家が集い、パブロ・ピカソの初の個展会場にもなった。やがてピカソはパリへ旅立ち、20世紀初頭にパリで起きた美術の革新運動「キュビスム」を生み出す。こうした前衛美術がカタルーニャに押し寄せ、新たな文化が花開く。カタルーニャ美術館のペペ・セラ館長は「バルセロナは常に開放的で、革命的な意識もあり、変化を繰り返してきた街なのです」と語る。=5月9日 西日本新聞朝刊に掲載=

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