江口寿史展
EGUCHI in ASIA
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福岡アジア美術館
2019/06/26 |
画家たちは風景のどこに目を向け、心を注ぐのか―。「十人十色の風景画」と題した作品展が、新緑の山里にある坂本善三美術館(熊本県小国町)で開かれている。阿蘇の大自然を見つめる中で独自の抽象画にたどり着いた坂本善三(1911~87)をはじめとし、画家10人の収蔵作を通して、そのまなざしに触れられる。7月7日まで。
同町出身の坂本は戦後間もない1950年代、絵筆など道具を持たず、阿蘇カルデラを一望する場所に通い続ける。渡仏修業などを経て「等価値」という新たな視座をつかみ、60年代に具象から抽象へと画風を転換した。
企画した学芸員の山下弘子さん(48)は「阿蘇の風景を描こうとするとき、どこか一部を切り取ったり、主題と背景といった捉え方をしたりするだけでは表現しきれなかったのでしょう」と解説する。
「大観峰の足元から、田畑が広がる阿蘇谷、雄大な五岳、無限の空と、視界を移していくうち、正面と後ろの風景がつながっていること(等価値)に気付き、ひらめきを得たのです」
展示されている油彩「青の阿蘇」(1940年)は、ちょうど今ごろの新緑の五岳を具象で描いている。60年代の作とみられる油彩「外輪山」では、空と外輪山、平野部を3層で表現した抽象画となり、変遷がうかがえる。
「グレーの画家」とも呼ばれた坂本。「外輪山」の空もグレーで、山下さんは「グレーの原点には、朝霧に包まれる小国の風景があったとされます。毎日は小さな発見や喜びの積み重ねで、作家や作品もその中でつくり上げられていくのではないでしょうか」。
地平線が印象的な野見山暁治さんの「黄色い風景」▽大地に農機具や作業着が置かれた宮崎静夫さんの「農」▽野外コンサート後だろうか、チェロなどの楽器が残された久永強さんの「余韻」―など10人の作家がそれぞれの視点で捉えた風景画が展示されている。
古民家を活用した同美術館は、日本唯一の全館畳敷き。年間5、6回、テーマを設けて企画展を開く。 (佐藤倫之)=5月30日 西日本新聞朝刊に掲載=
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