九州、山口エリアの展覧会情報&
アートカルチャーWEBマガジン

ARTNE ›  FEATURE ›  コラム ›  今年の秋のトレンド タータン 愛され続ける反逆の織物【コラム】

今年の秋のトレンド タータン 愛され続ける反逆の織物【コラム】

2019/10/17 LINE はてなブックマーク facebook Twitter

以前この欄で紹介した、ロンドンに住む元スタッフから「EU(欧州連合)離脱が目前に迫る英国に見切りを付け、日本に戻ります」とメールが届きました。小学生の娘と一緒に、しばらく英国人の夫とは別居生活。彼女によると、エリートで昔の大英帝国の夢を追うジョンソン首相となり混迷は深まるばかり、未来を悲観し国を離れる人が増えている、というのです。

英国は長い間、多くの日本人があこがれる国として、ファッション分野でも多大な影響を与えてきました。人気ブランドのバーバリーもその一つ。第1次世界大戦(1914~18年)で軍用の防水トレンチコートを開発し有名になりましたが、ブランド確立は24年のこと。裏地の柄を「バーバリーチェック」と命名し、ブランドの顔として売り出す戦略が大当たりして、国際的なファッションメーカーの地位を築きました。

みなさんは、この有名なチェック柄の原点となった織物の歴史をご存じでしょうか。それが英国が誇る「タータン」の文化です。日本ではタータンといえばタータンチェックを思い浮かべます。でも英国ではタータンが正式な名称。昔、スコットランドのハイランド地方に住む民族が着ていた伝統衣装のことで、織物と柄の両方を意味します。

興味深いのはその歴史。英国では18世紀の半ばまで、タータンを着用したハイランド人を主力とする反乱軍が、政府への抵抗を続けていました。政府に鎮圧された後、反乱の象徴と見なされたタータンは、長く着用を禁止される悲劇に見舞われました。後に許され、スコットランドを象徴する文化として広く世界に認知されていきましたが、この出来事からタータンには「反逆の織物」のイメージが付きまとうことになりました。

このタータンの特別展が久留米市美術館(福岡県久留米市)で11月4日まで開かれています。私も行ってきましたが、実に面白かった。タータンと日本の意外に深い関わりを示す資料を発見。専門家でもなかなかお目にかかれない多様なタータン生地が、一堂にそろって圧巻です。


実は今年の秋はタータン風チェック柄がトレンド。チェックのロングスカートにタートルを合わせ、英国風のおしゃれを楽しむ人たちを街中で見掛けます。過酷な時代を生き抜き、今もファッションの第一線であらゆる世代に愛され続けるタータン。これこそ英国の誇る伝統の力なのでしょう。(大倉紀子・アパレル企画会社代表)=10月4日西日本新聞朝刊に掲載=

おすすめイベント

RECOMMENDED EVENT
Thumb mini bb90a07d45
終了間近

「浦川大志個展 スプリット・アイランド」

2026/01/06(火) 〜 2026/03/22(日)
福岡市美術館

Thumb mini 97da41b20d
終了間近

開館25周年記念
出光美術館やきもの名品展

2026/01/17(土) 〜 2026/03/22(日)
出光美術館(門司)

Thumb mini 43340e6593
終了間近

宇治山哲平・坂本善三 展

2026/03/07(土) 〜 2026/03/22(日)
みぞえ画廊 福岡店

Thumb mini 91772f4655

喜久三栗八御目見得興行 画廊尾形宇久世乃情

2026/03/20(金) 〜 2026/03/29(日)
ギャラリー尾形

Thumb mini e1a3b92ce4

安部貴住 個展「夜の光」

2026/03/21(土) 〜 2026/03/31(火)
art space tetra(アート・スペース・テトラ)

他の展覧会・イベントを見る

おすすめ記事

RECOMMENDED ARTICLE
Thumb mini abcd1a6443
コラム

【コラム】福岡のくらしと自然 今昔 特別展「魔法の歴史スコープ」<中>製鉄で進む森林伐採

Thumb mini 72c0ea6456
コラム

【コラム】九州派受け継ぐ 現代の「風景画」 個展「スプリット・アイランド」を開催 画家 浦川大志さん

Thumb mini a967c161f8
コラム

【コラム】特別展「平戸モノ語り」 15日まで九州国立博物館 殿様の信念 3万件 漢籍、洋書、鉱物、絵巻、武具、茶道具… 全容把握へ調査続行

Thumb mini 546eacb3bc
コラム

【コラム】福岡のくらしと自然 今昔 特別展「魔法の歴史スコープ」<上>ドングリから稲作へ

Thumb mini 6adb782924
コラム

福岡県立美術館「みんなの画材」から見えてきたこと(寄稿:福岡市美術館学芸員 忠あゆみ)

特集記事をもっと見る