特別企画
[ 有田×野老 ]展
[ ARITA ×TOKOLO ]EXHIBITION
2019/09/20(金) 〜 2019/11/24(日)
09:00 〜 17:00
佐賀県立九州陶磁文化館
2019/11/20 |
白地に青い顔料で文様を描く有田焼が秘めた可能性は-。こんなテーマに挑むのが、佐賀県有田町の九州陶磁文化館(九陶)で開かれている特別企画[有田×(かける)野老( ところ )]展。東京五輪・パラリンピックの公式エンブレムをデザインした美術家の野老朝雄さんが、九陶との共同作業を通して、伝統産業の未来を探るユニークな企画展になっている。
三つの展示ゾーンのうち、最初のゾーン[有田×野老]の展示台は膝より下。天井からつるされた照明器具も低い位置にある。展示ゾーン全体が一つの作品のように見る人に迫ってくるような印象だ。
中央には、高速回転する皿に青い顔料を垂らして作った「遠心図皿」の100枚が並ぶ。渦を巻いたり、飛び散ったりした青の文様には何の統一性もないように見える。だが、九陶の鈴田由紀夫館長は「これにも物理の法則がある」と言う。何か新しい定理が発見されるような気さえしてきた。
近年、野老さんがこだわっているのは「青」。「有田焼瑠璃百段階卍(まんじ)」では、少しずつ違う青いブロックを卍形に並べて階調を構成している。以前、徳島県の藍染め作家集団と手掛けた「藍染地獄建百段階色卍」を有田焼で再現したもので、青といっても幅広い色彩があることが分かる。「青は藍より出でて藍より青し」という言葉は、努力すれば弟子が師匠を超えられることを意味するが、ここでは努力と工夫でいろんな青ができることを表しているようだ。
野老さんと言えば公式エンブレムもそうだが、一定の法則でつながる文様が特徴。このゾーンにも、唐草文デザインの皿や「福」の字をつなげた文様の皿などの野老ワールドが広がっている。タイルを実際に触って組み合わせ、つながるデザインを体験できる場所もある。
第2のゾーンは[野老×九陶]。野老さんの作品や関連資料と、九陶の所蔵品を並べて比較している。
展示室には、「道具」「人 生物」などのテーマごとに、野老さんと九陶のガラス展示ケースが交互に置かれている。一つ向こうのケースの中身がガラス越しに見え、作品群に取り囲まれたような雰囲気になる。「青」「つなぐ」を特徴とする野老さんのデザインと、有田焼の伝統の近似性を体感できる仕組みだ。特に野老さんの文様から浮き出る生き物のような形と、伝統的な有田焼の意匠によく似たものがあるのが驚きだ。
3番目のゾーンも[野老×九陶]。有田の山並みが見える大型窓に向かって真っ直ぐに青い小皿100枚を並べたインスタレーション「有田焼瑠璃百段階豆皿」が展示されている。有田の風景に溶け込むような「青」の配置には思わず引き込まれてしまう。
今注目される美術家と400年の歴史を持つ有田焼。遠いようで意外と近い関係を体験してみよう。(古賀英毅)=11月9日西日本新聞朝刊に掲載=
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