江口寿史展
EGUCHI in ASIA
2024/11/09(土) 〜 2025/01/12(日)
福岡アジア美術館
2020/02/17 |
建築家が設計した建物といえば、かっこいい、ややもすれば奇抜なイメージが先行しがちだ。確かに巨匠たちは、大胆な造形や構想を示し、時代を切り開いてきた。25年前、鹿児島県で建築家としてのキャリアをスタートさせた堀部安嗣さん(52)は少し違う。気候、風土との連続性を重視し、残り続ける「未来の原風景」を追求してきた。「日本建築学会賞」を受賞するなど、近年評価を高めている。
横浜生まれの堀部さんは筑波大卒業後、建築事務所勤務を経て独立。最初の仕事は1995年、鹿児島県で設計した「南の家」と「ある町医者の記念館」だ。親戚に当たる医者の遺品保管施設と、その家族の別宅。家の天井は低く、屋根はなだらか。低重心で、周囲の水田の延長にも見える。
多雨な屋久島や寒冷な八ケ岳など、特徴的な環境での住宅も多く手がけてきた。「建築は人を受け止めるもの」との考えに基づく切り妻屋根の軒の出し方は、風の強さや雪の重み、日射の強さによって変える。結果、景観の一部のような家になる。2016年の建築学会賞を受賞した竹林寺納骨堂(高知県)は、敷地の高低差がそのまま建物に反映する。一貫する姿勢は「環境にさからわない」。
現代建築に憧れたからこの道を志したわけではない。「風雪に耐えてきた」古い民家や寺院に魅力を感じ、「奇抜さや作品性を越えている」と考えたからだ。
影響を受けた建築家の1人は、フィンランドのアルヴァ・アールト(1898~1976)。ル・コルビュジェやミース・ファン・デル・ローエと同じく、世界共通の様式を模索したモダニズム建築の旗手だ。コルビュジェたちと違う功績は「近代建築と風土や自然を結びつけたこと」。アールトは近代の技術を取り入れ、北欧に最適な建築を志向した。堀部さんはそこに、建築の普遍的な価値を見いだす。
北九州市で現在、模型や写真で堀部さんの仕事を紹介する展覧会を開催中。築25年を迎える「記念館」と「南の家」について、学生が考えた活用案も紹介する。建築は作者の手を離れ、生き続ける。 (諏訪部真)=1月24日西日本新聞朝刊に掲載=
TOTOギャラリー・間 北九州巡回展 「堀部安嗣の建築展――懐かしい未来へ向かって」
会期 2019年11月19日(火)~2020年3月8日(日)
開館時間 10:00~17:00(入館は16:30まで)
休館日 月曜日・年末年始
入場料 無料
会場 TOTOミュージアム(〒802-8601 福岡県北九州市小倉北区中島2-1-1)
2024/11/09(土) 〜 2025/01/12(日)
福岡アジア美術館
2025/01/21(火) 〜 2025/05/11(日)
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