至上の印象派展 ビュールレ・コレクション
2018/05/19(土) 〜 2018/07/16(月)
09:30 〜 17:00
九州国立博物館
木下貴子 2018/02/28 |
東京の国立新美術館にて2月14日に開幕し、早くも話題騒然となっている注目の展覧会「至上の印象派展 ビュールレ・コレクション」が、5月に九州国立博物館で開催されます。それに先駆け2月16日に、記者発表が開かれ、展覧会の見どころや魅力、コレクションにまつわる話などを聞いてきました!
●印象派を中心に、超一級品のコレクションが64点!
記者発表に登壇されたのは九州国立博物館の島谷弘幸館長、同展のゲスト・キュレイターである名古屋市美術館副館長の深谷克典氏、そして、本展覧会担当の九州国立博物館特任研究員の臺信祐爾(だいのぶ ゆうじ)氏です。
まずは島谷館長が、「印象派ではバーンズ・コレクションが世界的に有名ですが、ビュールレはそのバーンズにも勝るとも劣らない、超一級品のコレクションです」とご挨拶。ビュールレ・コレクションの所蔵作品は2020年にチューリヒ美術館へ一括で移管されるため、「日本でまとまって見る、2度とない機会です」と島谷館長は語気を強めます。
続いて、深谷氏が展覧会の内容を詳しく解説。「ビュールレと聞いてピンとこなくても、本展のポスターに使われているルノワール、あるいはモネのイメージのように、アートに関心がない方でも一度は目にしたことのあるような作品が目白押しです」。
印象派を中心に64作品が出品され、しかもその約半数が日本初公開! 「肖像画」「ヨーロッパの都市」「19世紀のフランス絵画」「印象派の風景―マネ、モネ、ピサロ、シスレー」「印象派の人物―ドガとルノワール」「ポール・セザンヌ」「フィンセント・ファン・ゴッホ」「20世紀初頭のフランス絵画」「モダン・アート」「新たなる絵画の地平」という10の章によって紹介されます。
●個人的趣向を越えた、ビュールレ・コレクションの特徴
「ビュールレはドイツ・ベルリンにあるナショナルギャラリーで初めて印象派に触れ、心奪われたと聞きます。1936年より作品の収集をはじめ、1956年に亡くなるまでの20年間に集めたコレクションは633点で、その大半が印象派です」と深谷氏。「その印象派を軸に、印象派の前の16~18世紀の絵画や、印象派から次の20世紀へとつながる要素をもつ作品まで揃うのがビュールレ・コレクションの特徴。ビュールレが学生時代に美術史を学んでいたことも影響しているのでしょう。個人的趣向を越え、歴史的文脈に基づいた貴重なコレクションとなっています」。
「池に石を投げ込むと波紋が広がるように、印象派に触れたことでなぜ印象派が生まれたのか、どんな歴史があるのか、そこから何が生まれたのか……とビュールレは次々と感じ、自身のコレクションもその波紋のように並べてみたいという思いがあったそうです」とは臺信氏のコメント。「ですから印象派を核に、その前後の作品も集められたのだと思います」。
そんなビュールレの意思を尊重し、また反映するために、本展では幅広く64点を選んでいったそうです。
●“本物の違い”、“本物を見ること”の素晴らしさ
どれをとっても名作が揃うなか、「あえて1点だけ紹介するならば……」と深谷氏がオススメするのは最終章でただ1点のみ展示される、モネの4メートルを超える睡蓮の大作です。「モネの睡蓮は、パリのオランジュリー美術館に展示される作品が傑作とされますが、この作品もそのオランジュリーに並んでいてもおかしくないほどのものです」。スイス国外から一度も出たことがないこの作品はもちろん日本初公開。しかも会場内唯一、撮影が可能なのです!
国立新美術館での展示を見て、「改めてすごいコレクションだと心から納得し、感動しました」という深谷氏。「“本物の違い”、そして“本物を見ること”の素晴らしさを実感させてくれる作品群であり、展覧会です」と熱弁してくれました。
ポスターイメージにも使われているルノワールによる少女の肖像画も、「図版で再現するのは不可能だと、東京展を見て再発見しました」と深谷氏に“本物の違い”を強く感じさせたという作品の一つです。
7年前に九州国立博物館にて開催された「ゴッホ展」でもゲスト・キュレイターをつとめた深谷氏。再びこの九州で展覧会をするにあたって、アルトネ読者に向けてメッセージをいただきました。「ホークスの応援も結構ですが、これだけ名作がまとまって見られる機会はそうありません。ぜひ会場へお越しいただき、“本物”に触れてください」。
百戦錬磨の学芸員をも大絶賛させるビュールレ・コレクション。どれほどの感動が待ち受けているのか、期待はどんどん膨らむばかり。5月の開幕まで、待ちきれません!
All images:©Foundation E.G. Buhrle Collection, Zurich (Switzerland)
Photo: SIK-ISEA, Zurich (J.-P. Kuhn)
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