京都・醍醐寺展 -真言密教の宇宙-
2019/01/29(火) 〜 2019/03/24(日)
09:30 〜 17:00
九州国立博物館
2018/11/27 |
京都にある名刹(めいさつ)、醍醐寺の名宝を紹介する特別展「京都・醍醐寺 -真言密教の宇宙-」が2019年1月、九州国立博物館で始まります。
開幕を前に11月、記者発表があり、総本山醍醐寺の仲田順和・第百三世座主と島谷弘幸・九州国立博物館館長が、開催への思いを語りました。
醍醐寺の歴史は、平安時代までさかのぼります。唐の都、長安で密教を学んだ弘法大師空海が帰国。空海に教えを受けた直系の弟子、理源大師聖宝が874年に開いたのが醍醐寺です。醍醐寺は、人々の願いをかなえる加持祈禱(きとう)や修法(すほう)を実践する寺として発展し、その効験によって時の為政者や、武家、民衆など多くの人の信仰を集めました。残された数多くの仏像や仏画、経典類は、醍醐寺の繁栄の歴史を今に伝えます。受け継がれた寺宝は約15万点。その中から国宝36件、重要文化財49件を含む、選りすぐりの名品104件が今回展示されます。
密教というと、どういうイメージを持つでしょうか。仲田座主は会見で「何か秘密の教えのように感じられるかもしれません。(けれど)私は師匠から、密教の『密』の字は『秘密』の密と考えず、物事を『綿密』に解き明かすというふうに理解し、いろいろな伝承物や書籍をみるようにすればよろしいと言われました」と語りました。中国国内では徐々に衰退してしまった唐の時代の密教文化を今も色濃く残す醍醐寺。日本で深化した、密教の深遠で繊細・緻密な世界に触れられるのが本展覧会の特徴です。
足利尊氏を支えた賢俊(けんしゅん)、足利義満以下3代の将軍に仕えた満済(まんさい)、豊臣秀吉から手厚い保護を受けた義演(ぎえん)など、歴代座主は時代に翻弄(ほんろう)されながらも権力者との結び付きを強め、醍醐寺を繁栄へと導きました。
特に秀吉は1598年、「醍醐の花見」と呼ばれる、人生最後の盛大な花見を醍醐寺で開催。今回の展覧会では、歴史上の人物ゆかりの文書や品々が並び、まさに日本史を概観するような豪華さです。
ただ、明治期には大きな荒波に襲われました。廃仏毀釈(きしゃく)の動きが起き、仏像などの破壊や散逸、海外流出などの事態に仏教界は直面しました。しかし、醍醐寺の当時の座主は「一切の宝物を、一紙たりとも寺から出さない」(仲田座主)との立場を鮮明にし、明治後期からは「管理、調査、保存」に着手。この三つの柱に加えて2013年、醍醐寺文書聖教(6万9378点)が国宝に指定されたことを記念し「公開、修理という二つも加えました」と仲田座主。祈りの中で生まれ、祈りによって守られてきた醍醐寺の伝承物。一木一草に至るまで文化財と心得、「生かされてこそ文化財」との信念の下、公開などに取り組んでいきたいと語ります。
「今回の展覧会は、醍醐寺がいかに宝物を大切に守り伝えてきたかという、その『心』を再現するものです」と島谷館長。仲田座主は「折々の座主の判断によって文化財を守り続けてきました。座主の判断の重さと(総責任者としての)怖さを感じながら日々過ごしているわけでございます」と話します。
今回の展覧会は2016年、中国で開かれた醍醐寺展を記念して開催されます。島谷館長は1988年にドイツ・ケルン市で開かれた大密教展や、2001年に東京国立博物館であった国宝醍醐寺展など東博勤務時代にたびたび醍醐寺の展覧会を担当。仲田座主とドイツや中国など当時の思い出話にも花を咲かせていました。
「京都・醍醐寺 -真言密教の宇宙-」は2019年1月29日(火)から3月24日(日)まで九州国立博物館で開催されます。どうぞお見逃しなく!
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