江口寿史展
EGUCHI in ASIA
2024/11/09(土) 〜 2025/01/12(日)
福岡アジア美術館
大迫章代 2017/04/17 |
三菱地所アルティアムで開催中の「クエイ兄弟―ファントム・ミュージアム―」 オープニングイベントに行ってきた。 アートアニメーションの分野で世界的に知られるクエイ兄弟は、幻想的な映像美と狂気を孕んだ映像作品で多くの人々を魅了するアメリカ生まれの一卵性双生児だ。本展はクエイ兄弟の西日本初となる個展。オープニングイベントには20代女性から中高年の男性まで幅広い層のファンが集まった。
第1部では、『ヤン・シュヴァンクマイエルの部屋』(1984年)、『ストリート・オブ・クロコダイル』(1986年)など初期の代表作から、コムデ ギャルソンのイメージ映像など2000年代に制作されたCM作品までを約45分にわたり上映。『さほど不思議ではない国のアリス』(2007年)など、福岡では本イベントのみで上映という貴重な作品も見ることができた。 第2部では、東欧のアートを専門に、長年にわたり研究を続ける神奈川県立近代美術館の主任学芸員、籾山(もみやま)昌夫氏が「映像作家クエイ兄弟の今昔」をテーマに講演。ポーランドのアニメ作家ヤン・シュヴァンクマイエルやポーランドのポスター芸術が彼らに与えた影響や、クエイ兄弟の作品に織り込まれた綿密な謎や仕掛けについて、映像作品の1シーンとデコール(人形アニメーションの舞台装置)の細部を参照しながら解説してくれた。
特に興味深かったのは『この名付け難い小さなほうき』(1985年)についての籾山氏の見解。ビザの更新を忘れイギリスからあやうく国外退去になるところだったクエイ兄弟が、イギリスのお国柄を皮肉って作ったと説明されたが、この“ほうき頭”の主人公の発想源は、クエイ兄弟と同い年のデビッド・ボウイかもしれないとのこと。奇抜な髪にファッション…言われてみればそう見えなくもない。 他にも、息のぴったり合った双子ならではの公開制作風景や、「作品に使えるかも」と2人が食事先から持ち帰ったという、さざえのつぼ焼きの蓋のエピソードなど、昨年同展のため神奈川県立美術館 葉山を訪れたクエイ兄弟の人となりを交えながら、本展の見どころをたっぷりと紹介してくれた。
最後に本展の魅力を聞くと「実際に映画で使われた人形やデコールを間近に見られるのが何よりの見どころ。ぜひ、デコールの立体感、細部の質感を楽しんでください」と籾山氏。 「クエイ兄弟―ファントム・ミュージアム―」は5月7日(日)まで開催中。その美しくも奇妙なクエイ兄弟の創作世界を、ぜひ間近に体感してほしい。
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