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『ジブリの大博覧会』内覧会 これが、もう一つのジブリストーリー!【レポート】

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大迫章代
2019/04/04
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福岡市博物館で3月15日より開催中の『ジブリの大博覧会~ナウシカからマーニーまで~』。開会前日に行われた内覧会をレポート。福岡会場で全国初お披露目となる、「風の谷のナウシカ」関連の展示『王蟲(おうむ)の世界』の制作を手がけた造型家・竹谷隆之も駆けつけ、作品の制作について語ってくれた。

福岡市博物館に入ってすぐのグランドホールには
「天空の城ラピュタ」に登場する「空飛ぶ巨大な船」の動く模型が。
ここから大博覧会は始まっている!

この日は、スタジオジブリのイベントプロデューサー、青木貴之氏が展示の説明をしながら会場内を案内してくれた。
展示会場の最初の部屋は、スタジオジブリの第1スタジオにあるバーを再現したという「ジブリのバー」。ここで宮崎駿監督が煙草を吸ったり、スタッフと打合せをしたり、みんなが思い思いに休憩をとったりするそう。カウンターの奥に見えるのは階段の入り口。下から階段の上をのぞくと“小さくて黒くてかわいいアレ”が…‼ ぜひのぞいてみて。

バーカウンターでは大きなトトロがお出迎え

博覧会のテーマは、「ジブリのもう一つの物語」。ジブリ作品がどのように生み出され、世に出て行ったのかを、公開当時のポスターやチラシといった広告宣伝物や、製作資料、企画書など未公開のものを含む膨大な資料を通して紹介するもの。作品自体の制作の裏側ではなく、「ジブリ作品をどのように観客に伝えてきたか」という「広告宣伝」の切り口で、ジブリの試行錯誤を垣間見ることができるのが第1の見どころだ。

ジブリ作品のポスターの数々。一番左が、スタジオジブリにも1枚しか残っていないという
「風の谷のナウシカ」の貴重な劇場公開時ポスター

ポスターの展示エリアでは、「風の谷のナウシカ」から「思い出のマーニー」までジブリ全23作品のポスターが、バージョンごとに、その制作過程のデザインラフやコピー案、ロゴ案と共に展示されている。ポスターを見るだけで、作品の公開当時が懐かしくよみがえるのだが、その制作過程を見ることで、街や映画館で見かけるポスターやチラシ1枚1枚に、「作品の魅力をより端的に伝えたい」と試行錯誤を重ねる、宣伝スタッフたちの真摯な情熱を見てとれる。「映画の広告宣伝の基本は、『ビジュアル』『タイトル』『キャッチコピー』と青木氏。その、最大限に効果的な組み合わせが、ポスターに集約されているのだ。

そして、個人的に大変興味深かったのが、スタジオジブリ作品の制作・宣伝に一貫して関わってきた、鈴木敏夫プロデューサーの部屋。鈴木氏が長年ファイリングしてきたという全ジブリ作品の宣伝資料の中から、その一部が公開されているのだ。例えば、ジブリ作品を一躍国民的知名度に押し上げた「もののけ姫」。この「生きろ。」というキャッチコピーは、名コピーライター、糸井重里氏によるものなのだが、このコピーが生まれるまでの経緯が、当時、鈴木プロデューサーと糸井氏の間でやりとりされたファックスから明かされる。1回目、2回目、3回目…と互いのやり取りが掲示されているので、時間のある人は、ぜひゆっくり読んでみていただきたい。作品のテーマに、一進一退しながら近づいていくプロ同士の姿勢に感服してしまう。

リアルに再現されたプロデューサー、鈴木敏夫氏のデスクスペース。
棚には作品ごとの宣伝ファイルがずらり
鈴木氏と糸井重里氏の間でやりとりされたファックスの数々

他にも、公開当時の新聞広告をずらりと集めたコーナーや、宣伝グッズの数々が一堂に展示された「ジブリの倉庫」のコーナーが。「ジブリの倉庫」の右手の壁側には、宮崎駿監督や故高畑勲監督の手書きの企画書など、超貴重な資料が展示されているので、お見逃しなく。ここを見れば、「風の谷のナウシカ」が、企画段階でまったく別のタイトルだったことも分かる

ジブリの倉庫。メディア宣伝用や販売用に制作されたグッズが所狭しと並んでいる
天井にはポニョの大群が…!
宮崎監督の手書き企画書など、お宝資料もいっぱい

「ジブリの倉庫」の先には、ジブリ30年の歴史を綴るフォトスナップエリアが。2003年に「千と千尋の神隠し」で受賞したアカデミー賞 長編アニメ映画賞のオスカー像や、ベルリン国際映画祭 金熊賞のトロフィーの実物なども見ることができる。

ジブリ作品と言えば、空を飛ぶ機械たち。「スタジオジブリ 空とぶ機械達展」では、人間が長年抱いてきた空を飛ぶことへの憧れとともに、ジブリ作品の中の「空とぶ機械たち」を宮崎駿監督の絵コンテとともに紹介。その直前には、「空とぶ機械」ならぬ空飛ぶネコバスのコーナーも! 行き先が「ふくおか」になっているのもうれしい。

「となりのトトロ」に出てくるネコバスが実物大(?)で登場!
宮崎監督が生み出した「空とぶ機械たち」の手書きの絵コンテが並ぶ

最後に登場するのが、福岡会場で初公開となった本展覧会の目玉展示「『風の谷のナウシカ』王蟲(おうむ)の世界」。ジブリファンには説明不要かもしれないが、王蟲とは「風の谷のナウシカ」で描かれる腐海(ふかい)に生息する最大の蟲(むし)。この王蟲を高さ約3.8m、長さ約8.5m、その他の蟲たちを全長約4mのスケールで実体化させている。制作したのは、造型家の竹谷隆之氏。竹谷氏は、映像やゲーム、トイ関係でキャラクターデザインや造型を手がけるトップクリエーターで、ジブリの映像作品「巨神兵東京に現る」の巨神兵の雛形デザインや、映画「シン・ゴジラ」のキャラクターデザインを担当するなど、宮崎監督や、鈴木プロデューサーからの信頼も厚い。一見不気味だが、よく観てみると、細部まで芸術的な美しさ。「都会に住む子どもたちには難しくなっている『観察する喜び』を味わってほしいと思いながら作りました。腐海を散策する気持ちで楽しんでください」と語ってくれた。

腐海に住む蟲たち。右手中央が王蟲
王蟲の制作について語る竹谷隆之氏。
左は、スタジオジブリのイベントプロデューサー、青木貴之氏

内覧会の後には開会式、鈴木敏夫プロデューサーの取材も行われた。その模様は別記事でご紹介予定。こうご期待!

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