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【連載】山出淳也 アート、まちに出る 4

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山出淳也
2020/12/10
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アーティストってどんな人?

 高校時代に通った画塾を紹介してくれたアベ君は、美大卒業後すぐにアーティスト活動を始めた。若くして海外の美術評論家に見いだされ、国際展の参加も決まった。海外から帰った彼の作品は、なんか垢(あか)抜けていてキラキラしていた。そのころの僕は、彼と話をする時間が好きだった。世界を感じ、閉塞(へいそく)感から抜け出せるような気がしたからだ。

 アーティストの言葉の選択や視点は独特だ。ある時、彼と人の記憶力について話していた。パソコンが一般にも手が届き始めた頃だった。僕が、ハードとソフトの関係になぞらえて、人が持てる記憶や知識の限界を語っていると、彼は、その前提はおかしいと言う。「パソコンはソフトである」と言い張って止めない。「いやいや、パソコンはソフトウエアを入れなきゃただの箱だ」と反論する僕に、「人にとってパソコンはソフトウエアである」と断言するのだ。

 彼の主張は「自分の体がハードウエアで脳がOS。作ろうとするものを実現するためにパソコンを実装する」というようなことだったと記憶している。アーティストって突飛(とっぴ)なことを言う不思議ちゃんと見られていることを、僕もうすうす感じている。でも彼と話していると、正しいかどうかはさておき、別の視点をもたらしてくれる。つまり、対象をどこから見ているかってことだ。その後、福岡市美術館が彼との2人展を企画してくれた。1996年、26歳の時だ。

 活躍めざましいアーティストグループ「目」の荒神明香さんは、以前こんな話をしてくれた。

 「体育の時間に校舎の屋上で寝転がって体操していた時のこと。目の前には建物も何もなくてただ空だけが見えていたの。突然怖くなって手を床につけたら、ああ良かったと安心しました。だって、まだ自分は空に落ちていないことが分かったから」

 地球には引力があるから大丈夫と言われても、それがいつまであるかなんて誰も責任を持って答えられないとも彼女は言った。空に落ちるって視点、今まで考えても見なかった。イカしてるなって思った。(やまいで・じゅんや=アーティスト、アートNPO代表。挿絵は鈴木ヒラクさん)

=(11月5日付西日本新聞朝刊に掲載)=

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