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追悼人間国宝中島宏展によせて 陶芸家 浦郷 好文さん 「酔陶会」で武雄をけん引―連載【コラム】

2019/05/04 LINE はてなブックマーク facebook Twitter

「三夜待(さんやまち)をしようか」。中島宏先生の呼びかけで、武雄の陶芸家たちが集まったのは21年前のことでした。「三夜待」とは地元の風習で、二十三夜の月が欠け新月を待つ夜、近しい者同士が集まって飲みの席をします。先生の求心力で若手からベテランまで顔をそろえ、焼き物談議です。定例会にしようと、名前を「酔陶会(すいとうかい)」に決めました。

陶芸家 浦郷好文さん


当時すでに、先生は私たちからみれば雲の上の存在。中央で活躍されながら、「武雄の焼き物を何とかしたい」という思いが強かったのでしょう。リーダーシップはとっても、あくまで控えめで小さなことはあまり言わない。年末の忘年会の前には評論家などを呼んで勉強会をし、毎年酔陶会メンバーでグループ展を企画しました。
最初の会場は佐賀市の佐賀玉屋で、2年目からは唐津市の名護屋城博物館で開催。先生も毎回出品されましたが「私の作品は隅の方でいいから、若い人の作品を目立つ場所に飾ってほしい」と話していました。
先生は努力家かつ読書家で、とにかく博学でした。武雄の古陶磁を熱心に研究・収集し「古武雄」と名付けて再評価をされた功績は武雄にとって大きな財産です。酔陶会でも、多彩な古武雄について熱く語り合ったものです。現代の武雄の焼き物についても地元意識が高まり、「武雄焼」と呼ぶようになりました。

≪作品紹介≫青瓷釉彩彫文層玉壺(2000年、陽光美術館蔵)。
青銅器に学んだシャープな彫りを施した胴に、紅が差した有機的な玉のふくらみを組み合わせた。
独創的な形状だが緻密に計算されている。


毎年春先、会の打ち合わせで先生のお宅にうかがうと、しだれ梅が本当にきれいでした。先生の青磁には自然の移り変わりが投影され、大胆な彫りや造形の斬新さはとてもわれわれには及ばないところです。
昨年末の酔陶会展では、先生の遺作と古武雄コレクションも展示しました。(談、聞き手は平原奈央子)

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