九州、山口エリアの展覧会情報&
アートカルチャーWEBマガジン

ARTNE ›  FEATURE ›  コラム ›  廃墟に動物 際立つ生 日本画家・柏木菜々子さん

廃墟に動物 際立つ生 日本画家・柏木菜々子さん

2020/10/29 LINE はてなブックマーク facebook Twitter

 廃虚に、ゾウやバクといった動物がたたずむ。過ぎ去りし存在と、命ある生き物の対比を、ドラマチックに描いて見せる。

廃虚に動物 際立つ生
柏木菜々子さん

 千葉県出身で、筑波大芸術専門学群を卒業後、関東で個展を中心に活動。「どこにいても楽園にいるように、静かに日々を送っている愛すべき存在」として、動物を題材にしてきた。

 経年で朽ちた建物との組み合わせは、2015年に福岡に移住したことがきっかけだった。炭鉱の旧施設をはじめ、九州には日本の近代化、工業化に伴う遺構が多く、目にする機会が格段に増えた。物珍しさも手伝ってスケッチを重ねるうちに「廃虚に置いたら、動物の動物らしさが際立つ」と思ったのだという。

 日本画らしくない絵だと言われることもあるが、動物の肌のしわを表現するために、日本画特有の技法「もみ紙」を生かしている。縦約1・6メートルの新作「ハナフル世界」のゾウは、紙をもむことでできたしわによって、薄く墨を塗っただけで色面が奥行きを持った。別の作品に描いた赤れんがの建造物は、壁面の部分に金箔(ぱく)を貼った後にやすりで削り、下地の茶色い絵の具をのぞかせた。古いだけにとどまらない廃虚の魅力を表す研究に余念がない。

 作品はどれも、おとぎ話の世界のようでもあり、人間が滅び去った未来の図のようでもある。揺るがないのは、動物たちが自分のペースで、しっかりと生を営んでいることだ。

 趣味はバイク。出産後、復帰したライダーとして専門誌に記事が掲載されたこともある。いつまでも自分らしくあろうとする姿勢は、自ら描く動物が手本なのかもしれない。43歳、福岡市在住。(諏訪部真)

=(10月26日付西日本新聞朝刊に掲載)=


柏木菜々子展 樂園
会期:2020年9月29日(火)~10月31日(土) 12:00~18:00
   月・火曜休廊
会場:アートプロ  ガラ
  (福岡市中央区舞鶴1-3-31 ハイラーク舞鶴南側1F)

おすすめイベント

RECOMMENDED EVENT
Thumb mini 5435848923

特別展「若冲、琳派、京の美術ーきらめきの細見コレクションー

2026/04/21(火) 〜 2026/06/14(日)
九州国立博物館

Thumb mini 774a132be2

特別展 大恐竜展 ~「フクイ」から探る獣脚類の進化~

2026/04/24(金) 〜 2026/06/28(日)
福岡市博物館

Thumb mini 7ef2333063

小磯良平展ー幻の名作《日本髪の娘》

2026/04/18(土) 〜 2026/06/21(日)
福岡市美術館

Thumb mini c38977284b
終了しました

コレクション展Ⅲ 特集 没後5年 菊畑茂久馬

2026/01/31(土) 〜 2026/05/06(水)
北九州市立美術館 本館

Thumb mini b1f7d1260b
終了しました

特別企画展
なんだこれは!岡本太郎展

2026/03/20(金) 〜 2026/05/06(水)
鹿児島市立美術館

他の展覧会・イベントを見る

おすすめ記事

RECOMMENDED ARTICLE
Thumb mini 559883e9f9
コラム

久留米市美術館 開館10周年記念展「美の新地平 石橋財団アーティゾン美術館のいま」【学芸員コラム】(その2)

Thumb mini da7b8d0855
コラム

久留米市美術館 開館10周年記念展「美の新地平 石橋財団アーティゾン美術館のいま」【学芸員コラム】(その1)

Thumb mini 3fea32bffe
コラム

【コラム】小磯良平の美《福岡市美術館特別展より》<上>天才画家 若き日の姿

Thumb mini 44a277abe2
コラム

【コラム】アーティゾン美術館から名品80点 久留米市美術館10周年展 生き続けるコレクションの「いま」

Thumb mini e91a2da7dd
コラム

【コラム】福岡のくらしと自然 今昔 特別展「魔法の歴史スコープ」<下>太閤町割の名残 今も

特集記事をもっと見る