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心揺さぶる名作の数々 「高畑勲展」7月18日まで 福岡市美術館

2021/07/13 LINE はてなブックマーク facebook Twitter

 1960年代から半世紀にわたり、日本のアニメーション界をリードした故高畑勲さんの足跡をたどる「高畑勲展 日本のアニメーションに遺したもの」が、福岡市中央区の市美術館で開催されている。

 展示されているのは、制作ノートや絵コンテ、キャラクターデザイン、背景画など、千点を超える貴重な資料の数々。高畑さんが初めて長編アニメの監督を務めた「太陽の王子 ホルスの大冒険」を始め、テレビ放映された「アルプスの少女ハイジ」、映画「火垂るの墓」、遺作となった「かぐや姫の物語」など作品ごとに紹介している。
 

「火垂るの墓」のセル画や背景画に見入る親子連れ
高畑勲さんが残した資料を真剣な表情で見つめる来場者

 中でも「火垂るの墓」のポスターを基にしたプロジェクションマッピングボードは必見だ。主人公の清太と節子が戯れる草むらのホタルと、米軍爆撃機の投下する焼夷(しょうい)弾の光が混然として描かれ、その無残さと切なさに心を揺さぶられる。映画公開当時のポスターでは機影は暗夜に沈み不鮮明だったが、今回ははっきり描かれ高畑さんのメッセージが強く伝わってくる。

「火垂るの墓」
主人公、清太と節子の背景に映る
焼夷弾とホタルの対比に心を揺さぶられる
ⓒ野坂昭如/新潮社、1988

 展示室外にもアルプスの少女ハイジや、パンダコパンダのフォトスポットがあり、楽しく写真を撮ることができる。

「アルプスの少女ハイジ」のコーナーでは、ハイジのボードがお出迎え。
テレビ放映されたセル画やビデオが鑑賞できる
ⓒZUIYO・「アルプスの少女ハイジ」
公式ホームページ http://www.heidi.ne.jp/
「パンダコパンダ」のフォトスポットで、
笑顔で写真に納まる観覧者
©TMS

 展示に関わったスタジオジブリの田中千義(かずよし)・制作プロデューサーは「作品にこだわりを持った高畑さんの作品は完成度が高く、永遠に残り続けるだろう。高畑さんを知らない人にもぜひ見にきてほしい」と話した。 (写真と文・納富猛)

=(6月18日付西日本新聞朝刊に掲載)=


【メモ】7月18日(日)まで。観覧料は一般1500円、高大生1000円、小中学生600円。問い合わせは、西日本新聞イベントサービス=092(711)5491(平日午前9時半~午後5時半)。緊急事態宣言の間は、高畑勲展以外の館内施設は閉鎖中。

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