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【コラム】「もののけ姫」から学ぶ考古学 大野城心のふるさと館で特別展

2025/05/19 LINE はてなブックマーク facebook Twitter

 映画「もののけ姫」に登場した刀や装飾具、占いの器具などを実際の考古資料に当てはめて映画のシーンを交えながら紹介し、環境と人間の関わりなどを見つめ直す特別展「映画『もののけ姫』から学ぶ考古学」が大野城市の大野城心のふるさと館で開かれている。

「映画『もののけ姫』から学ぶ考古学」展で紹介されている縄文時代の「土面」。
映画でサンが付けているお面に見立てている

 もののけ姫は東北に住む蝦夷(えみし)の末裔(まつえい)の少年アシタカが主人公の物語。呪いを解くために西へ旅をし、山の木を切り製鉄をする集落にたどりついたアシタカは、製鉄をする人々と敵対する少女サンと出会う。

 特別展は同市内で蝦夷関連の遺物が見つかったことなどをきっかけに企画。三大古窯ともよばれる同市を中心とした「牛頸(うしくび)須恵器窯跡」を日本古来の製鉄所「たたら場」に見立てた。

 映画の場面と合わせて示す考古資料は同市内外の39件。アシタカが使う刀のモデルになる蝦夷の「蕨手刀(わらびてとう)」(奈良時代、群馬県出土)や、サンが付ける面と似た土面(縄文時代、大阪府出土)などが並ぶ。

 映画のラストはたたら場の破壊と森の再生がある。特別展では対応する遺物として「牛頸」で須恵器生産が途絶え200年ほど経た後に作られるようになった「瓦器(がき)」を展示する。1回に5トンもの木材が必要だったともされる須恵器に比べ少ない燃料で焼くことができるという土器だ。

 映画は自然と人間の共存を問うた。工人たちが行った持続可能な工夫は、一つの答えを示しているようにも思える。

 6月15日まで。一般500円など。同館=092(558)5000。
(古賀英毅)

=(5月10日付西日本新聞朝刊に掲載)=

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