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【コラム】どん底からの会心作 大解剖 直筆原稿や証言映像…「マンガの神様」の息遣い 間近で 手塚治虫 ブラック・ジャック展 福岡アジア美術館

2025/05/20 LINE はてなブックマーク facebook Twitter

 医療漫画の先駆け「ブラック・ジャック」の連載開始から50年を記念した「手塚治虫 ブラック・ジャック展」が、福岡市博多区の福岡アジア美術館で開かれている。「週刊少年チャンピオン」で1973年から10年間にわたって掲載された手塚の代表作。直筆原稿や関係者の声などを通じて不朽の名作に光を当てた展覧会をのぞいてみた。
(文・山上武雄、写真・佐藤桂一)

通路の両側に多数の作品が展示されている会場

 主人公は無免許ながら卓越した執刀技術を持ち、法外な治療費を請求する“天才外科医”のブラック・ジャック(本名・間黒男(はざまくろお))。生命の尊厳をテーマにした一話完結の物語は時代を超えた普遍性を帯び、この作品から医学の道を志した人も少なくない。医師免許を持つ手塚が、もし自分が医師になるならと、理想の姿を描いたのがブラック・ジャックだったという。

会場入り口ではキャラクターたちが来場者を出迎える

 ブラックジャックをテーマにした作品展で過去最大規模と銘打った会場には、500点を超える原稿や200以上のエピソードの直筆原稿、手塚の医大時代の資料などが所狭しと並ぶ。長男の眞(まこと)さんをはじめ、関係者の証言映像も見逃せない。作中には昭和の社会問題やベトナム戦争をモチーフにした話も登場する。手塚の執筆現場を再現した机には新聞や雑誌が置かれ、創作のヒントにしていたことをうかがわせる。

連載当時の手塚治虫の執筆現場を再現した机

 後に「マンガの神様」とうたわれた手塚だが、ブラック・ジャックの連載が始まった当時は、劇画漫画の台頭でヒット作が出ず、自ら設立した「虫プロダクション」や「虫プロ商事」が相次いで倒産するなど、苦境に陥っていた。展覧会を企画制作した鈴木俊二NHKプロモーション文化・企画事業本部エグゼクティブ・プロデューサーは「経営問題もあり『手塚は終わった』と言われた時代。ブラック・ジャックも当初は短期連載の予定でした」。

印象的なせりふも紹介されている

 ブラック・ジャックは、どん底にいた手塚が全身全霊で挑み、起死回生を遂げた作品だった。虫プロ倒産を伝える新聞記事まで展示されているのも興味深い。

 

会場に展示されている手塚治虫の写真はトレードマークのベレー帽姿


▼手塚治虫 ブラック・ジャック展 
6月22日まで、福岡アジア美術館。西日本新聞社など主催。チケットは一般1900円、中高生1000円、小学生600円。水曜休館。西日本新聞イベントサービス=092(711)5491(平日午前9時半~午後5時半)。

 

 

 

=(5月16日付西日本新聞朝刊に掲載)=

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