北九州芸術劇場×北九州市立美術館分館 vol.5
10万年の寝言
6月8日アフタートーク、ORGA制作者ヤノベケンジさん登場!!
2017/06/08(木) 〜 2017/06/11(日)
北九州市立美術館 分館(休館中)
2017/06/05 |
商業施設リバーウォーク北九州内にある北九州芸術劇場と北九州市立美術館分館。この2つの文化施設がコラボレーションし、演劇鑑賞・作品解説・絵画鑑賞を組み合わせたコラボレーション企画が毎回人気を集めている。今回取り上げられる作品は、現代美術家・ヤノベケンジによる3mの立体造形作品《GRAND SEED NEW"ORGA"》。本企画『10万年の寝言』の監修・解説を担当する北九州市立美術館学芸員・清田幸枝氏に寄稿いただいた。(編集部)
北九州芸術劇場と北九州市立美術館のコラボレーション企画が5年目を迎える。美術館が所蔵する作品1点をモチーフに演劇作品を創作し、展示室内に舞台を組み上演。終演後は、劇作家と学芸員のトークや、実際に主題となった美術作品を鑑賞するという全国的にも珍しいイベントである。これまでに、エドガー・ドガ《マネとマネ夫人像》、ジャン=ミシェル・バスキア《消防士》、葛飾北斎《冨嶽三十六景 神奈川沖浪裏》、クロード・モネ《睡蓮、柳の反影》を主題とした作品が上演されてきた。5回目となる今回のテーマは、現代美術家ヤノベケンジの《GRAND SEED NEW “ORGA”》。シリーズ初となる、立体彫刻作品を取り上げる。
ヤノベケンジは1965年、大阪に生まれた。子どもの頃に見た大阪万博跡地の「未来の廃墟」の光景。まるで未来が終わってしまったかのようなその体験は、ヤノベの創作の原点となる。90年代には終末の未来を生き抜くための「サヴァイヴァル」装置としての作品を次々と展開。その多くはSF映画やアニメを想起させる、ユーモラスな形態とストーリー性を持ち合わせる。本作《ORGA》もまた作品内部に直立の形で入ることができ、圧迫されながらも「快楽を享受しながら大地と共鳴するための装置」として作られた。 97年には原発事故の起きたチェルノブイリを訪れ、自作の放射能感知服を着用し「アトムスーツ・プロジェクト」を開始。そこで暮らす人々との出会いに強い衝撃を受けることとなる。2000年代からは再生や復活など未来への希望を表わす「リヴァイヴァル」へとテーマを移行していく。
今回の舞台「10万年の寝言」では、ヤノベの創作の軌跡を「サヴァイヴァル」「リアリティ」「リヴァイヴァル」という3つのキーワードに分け、3人の劇作家が短編演劇作品として書き下ろした。またシリーズ初の試みとして《ORGA》を舞台美術として登場させるのも今回の公演の見所のひとつである。イマジネーションを掻き立てられるヤノベケンジの作品世界と、そこから着想を得て生まれた新たな3つの物語。普段美術館では味わえない鑑賞体験をぜひ会場で体感していただきたい。
清田 幸枝(きよた ゆきえ)
北九州市立美術館 学芸員。 嘉麻市立織田廣喜美術館を経て2013年より北九州市立美術館に勤務する。展覧会や教育普及事業を担当。『10万年の寝言』の監修・解説。
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