江口寿史展
EGUCHI in ASIA
2024/11/09(土) 〜 2025/01/12(日)
福岡アジア美術館
大迫章代 2018/03/28 |
現在、JR九州ホールで開催中の「アートアクアリウム展2018~博多・金魚の祭~&ナイトアクアリウム」。これは、幻想的な空間のなか、一つ一つ趣向が凝らされた水槽の中で華麗に舞い泳ぐ金魚を鑑賞するというユニークな展覧会。この“アクアリウム”と“アート”を融合させた第一人者が、本展のプロデューサー、木村英智さんだ。今回、福岡で3回目となる「アートアクアリウム」。その発想の原点と、展示の見どころを聞いた。
―そもそも、なぜ「アクアリウム」と「アート」を融合させようと思われたのですか?
木村:そのいきさつを話すと長くなるのですが…。僕は20代の頃、起業して世界中の観賞魚を売買するビジネスをしていたんです。それが大変成功しまして。金銭的にもかなりゆとりある生活をしていたのですが、30代を前に、この先もずっと「観賞魚を売買するというビジネスだけを続ける人生でいいのか」と、ふと不安になったのです。そこで思い切ってセミリタイアをし、世界中を見て回る、いわば“自分探しの旅”に出たのです。それから1~2年半ほど、好きなことだけに時間とお金を費やし、お金を使い切るまで豪遊して暮らしました。そうこうしているうちに、自分の関心が「モノを仕入れて売る」という行為よりも、モノを作る、つまり「ソフトを作る」ことに向いていることが分かったのです。なぜなら、何でも自由にできる時に、自分が一番お金と時間を投じていたのは「アート」と「デザイン」と「エンターテインメント」だったからです。
―では、もともとアートやデザインの仕事をされていたわけではないのですね。
木村:はい。アートやデザインに関しては、まったくの素人でした。そこから「東京モード学院」とかに行って、イチから勉強しようかとも思ったのですが、「それもなぁ」と思いまして(笑)。だったら、自分が一番その良さを知っている観賞魚を、アートやデザインという世界と結び付けられないかと考えたのです。というのも、世界中をめぐり、行く先々で必ず美術館と水族館を訪れたのですが、そのどこにも観賞魚がアートとして展示されている場がなかったからです。観賞魚はそれ自体がアートとも呼べる存在なのですが、区分としてはペット産業のジャンルに入っているため、「あまりよいステージで鑑賞されていない」と感じていました。誰もやっていないなら、自分がやればいいのではと思い、そこから自分の知識と情報とノウハウを融合して作り上げたのが「アートアクアリウム」です。
―観賞魚の中で「金魚」を展示しようと思った理由は?
木村:初めのころは、天然の観賞魚の展示も行なっていたのですが、回を重ねるうちに金魚に焦点を絞るようになりました。理由は大きく2つあります。1つは、世界中を旅しているうちに、もっと日本的な文化を世界に発信していきたいという想いが強くなったこと。金魚が生まれたのは中国ですが、日本では独特の発展をしているため、錦鯉と並び、非常に日本的な観賞魚だと言えるのです。もう1つは、金魚が本来、観賞用に品種改良を重ね創り出されたものだという点。そういう意味で、金魚自体が人工的に生みだされた“アート作品”なのです。
―最後にアルトネの読者に一言メッセージをお願いします。
木村:「アートアクアリウム」は、“観賞魚をもっと美しく見せたい!”という僕の欲求の結晶とも言える展覧会です。生きた水族をアートとして鑑賞できる機会は、世界中でここだけ。存在自体がアートと呼べる“金魚”の華麗な舞いを、光と音が融合した幻想的な演出の中でお楽しみください。
―3000匹の金魚が泳ぐ人気の大作「超花魁」から、九州初登場となる「床掛け金魚飾」まで、華麗に進化を続ける「アートアクアリウム」の世界をぜひ身をもって体験してほしい!
木村 英智(きむら・ひでとも)
アートアクアリウムアーティスト。1972年、東京生まれ。
「アート」「デザイン」「エンターテインメント」と「アクアリウム」を融合させる『アートアクアリウム』という世界を確立し、アクアリウムを用いたアート作品の有料展覧会を美術館で行なう世界で唯一のアーティスト。展覧会における水槽をはじめ、インテリア、ライティング、映像、音楽、空間構成を自らデザイン・監修している。2015年には、“国外初”の試みとして、イタリア・ミラノでアートアクアリウム展を開催。現在では『江戸ルネッサンス』など、日本の伝統文化を現代アートとして展開する新たな試みにも取り組んでいる。
2024/11/09(土) 〜 2025/01/12(日)
福岡アジア美術館
2025/01/21(火) 〜 2025/05/11(日)
九州国立博物館
2024/10/31(木) 〜 2024/11/25(月)
大丸福岡天神店 本館8階催場
2024/09/07(土) 〜 2024/11/24(日)
つなぎ美術館
2024/10/26(土) 〜 2024/12/01(日)
九州芸文館