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商業イラスト界に新たな風/イラストレーター・世戸ヒロアキさんに聞く【インタビュー】

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西山 健太郎
2018/03/28
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この一年のうちに、ファミリーマートやJRA、新宿伊勢丹などの広告イラストやファッション誌・経済誌などの挿絵を数多く手がけ、各界からの注目を集めている福岡市在住のイラストレーター・世戸ヒロアキさん。大学卒業後4年間の会社員生活を経て、フリーのイラストレーターとして独立し現在に至る、そのキャリアの変遷と作品制作にかける思いについてインタビューしました。

――世戸さんは、生粋の「福岡生まれの福岡育ち」なんですよね。

世戸 おっしゃるとおりで、生まれたときは四箇田団地に住んでいて、その後、野芥小、田隈中から福大大濠高、西南大に進学し、社会人になってからもずっと福岡です。

 

――東京や大阪など、県外に出ようとは思われなかったのですか?

世戸 就職活動のときは県外の企業も受けたりしましたが、結果的には地元の企業に就職しました。この町には愛着がありますし、特段、よその土地に住みたいと思うことはないですね。

 
   

――就職活動では、どのような企業を回っていたのですか?

世戸 銀行、証券会社、ブライダル関係、製造業など、ありとあらゆる企業を受けました。

 

――それは意外ですね。その頃からイラストレーターを目指していたわけではないのですか?

世戸 うちの家は、父が会社員、母が専業主婦、姉も保険会社というように、結構お堅い仕事に就いており、物心ついた頃から大人は会社で働くものだと思っていたので、就職に少しでも有利になればと、大学の学部も経済学部を選択しました。イラストはずっと好きでしたが、イラストレーターとして食べていけるとは思っていませんでしたね。
ただ、面接まで進んだときは、自分が描いたイラストを面接官に見せたりはしていました。社会人の一歩手前にいるわけですから、社会の中で自分がどんな仕事が向いているのか、自分にどんな才能があるのかなど分かるはずもなく、逆に、すでにプロとして働いている人たちに自分の良さを見出してもらえたら、という思いがあったのです。少し他人任せかもしれませんが(笑)。

 

――すごく建設的な考え方をされていたんですね。なかなかそこまで考えて就職活動をしている学生はいないと思います。そして、就職活動の結果はどうだったのですか?

世戸 広告代理店、印刷会社、浄水器のメーカーの3社から内定をいただき、福岡を拠点とする広告代理店に就職しました。いまから5年前の2013年(平成25年)のことです。
入社してからの日々は、商業施設の広報・広告の企画を立てたり、屋外広告の現場作業の指示をしたりと、昼夜を問わず慌ただしく働いていたイメージが強いですね。しばらくは実家から通っていたのですが、あまりに通勤がきつくて、しばらくして会社の近くで一人暮らしを始めました。

 

――そのかたわら、イラストレーターとしての活動もされていたんですよね?

世戸 子どもの頃からイラストが好きで、社会人になってもプライベートの時間によく描いていたのですが、その頃、福岡パルコが「天神ラボ」という若手アーティスト支援のためのアートフェスを開催していて、その公募展に出展したところ審査員の方の目に留まり、作品の展示やライブペインティングなどのチャンスをいただいたのです。
それから、ぽつぽつとイラストレーターとしての活動を始めるようになりました。

「天神ラボ2014」の公募展に応募した作品
タイトル:September

――会社員との「二足の草鞋(わらじ)」は大変だったと思いますが。

世戸 実は、イラストレーターとしての活動は、会社には秘密にしていたんですよ。最初はそれほど仕事の量も多くなく、上司や同僚も知らないふりをしてくれていて、今思うと本当にありがたがったですね。ときには会社にいる間に急なイラストの修正依頼が来たりして、焦りながら対応したこともありました(笑)。

 

――そうしたうちに会社を辞めてフリーのイラストレーターとして独立されるんですよね。会社員としての地位や身分を手放すことに躊躇や後悔はありませんでしたか?

世戸 たしかに心の中での葛藤はありましたが、「チャレンジできるのは今のうち」、そして「失敗できるのも今しかないかな」という気持ちの方が強かったですね。会社を辞めたのは昨年(2017年)の6月でしたが、幸い順調にお仕事もいただいており、あのとき決断してよかったと心から思っています。
それに、前職の会社の皆さんには、職場の飲み会に誘っていただいたり、仕事を斡旋していただいたりと今でも大変お世話になっています。

2017年に「伊勢丹新宿店」の「(ISETAN NEW YORK WEEK)」に採用された作品
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