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ゲームプロデューサー 鈴木亮浩さん、越後谷和広さんに福岡・三国志展で単独インタビュー【三國志&真・三國無双】

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秋吉真由美
2019/12/13
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九州国立博物館(福岡県太宰府市)で開催中の特別展「三国志」。関連イベントとして11月23日に開かれた一夜限りのイベント「夜な夜な三国志」のトークショーに出演した、歴史シミュレーションゲーム「三國志」シリーズやアクションゲーム「真・三國無双」シリーズを手がけたコーエーテクモゲームスのプロデューサー・鈴木亮浩さんと越後谷和広さんに同展の見どころを聞きました。


―特別展「三国志」とのコラボイベントはいかがでしたか?

鈴木 最近、三国志ブームと言われていますが、実は三国志関連のイベント自体の数は減ってきているんです。なので心配だったのですが、すごく盛り上がっていて、九州の三国志ファンと交流できて楽しかったです。


越後谷 九州にも三国志好きってこんなに居るのかと(笑)。三国志人気を実感できる機会は貴重なので、ゲームを作っている人間としてはすごく励みになります。ガーリィレコードの「真・三國無双」ものまねクイズも、予想以上に皆さんが笑っていたのですごく感動しました。

 

コーエーテクモゲームスのプロデューサー・鈴木亮浩さん(右)と越後谷和広さん


―三国志がこんなに愛される理由は、どこにあると思いますか?

鈴木 やはり武将のバリエーションでしょうか。魅力ある武将がたくさん登場するというのも三国志の人気の理由ですが、私がそれ以上に思うのは、重要な人物が亡くなるということ。好きな武将が最期を迎えたことで感じる喪失感。そこも三国志が愛される大きな理由だと思います。ある武将が亡くなったことによって、周囲がどんな動きをするのか、どうストーリーが進展していくのか、本当にドラマティックなんですよ。
ゲームでも、最初はストーリーが進むにつれて登場人物がいなくなるのは寂しいという点から、あまり武将を殺さなかったんです。よってラストの戦が、まるでオールスター戦のようになっていたりもしていたのですが、今はそんな時代じゃない。この人物がこのタイミングで亡くなったからこそ、この出来事が起こって…という“リアルさ”を重要視した描き方をしています。そういう、ドラマティックな部分を感じられるのが三国志の魅力じゃないかなと思います。


越後谷 私は、飛び道具が弓しかない古代だからこその“手に汗握る戦い”だと思います。そこにロマンがあると思うんです。一騎打ちのシーンは、やはり三国志の“華”ですよね。また、魏・呉・蜀のどこも勝たなかったという、どこもハッピーになりきれていない点。結局、晋に天下統一された“はかなさ”が日本人の心を打つのだと思います。どこか哀愁がありますよね。そこに惹かれる方も多いと思いますよ。

―展示を見た印象を。ゲーム作りのヒントになることはありましたか?

鈴木 名刺には驚きました。そんなに古代からあったのかと…。ちょっと考えると当たり前にも思えてきますが、生活に密着したものは、やはりリアルさが増しますね。一気に親近感もわきます。ゲームにも取り入れると、臨場感が出るんじゃないかなと思います。次回作、武将たちが名刺を持っているかも(笑)。

◇「童子史綽(どうじししゃく)」名刺(三国時代(呉)・三世紀)
木の札に「童子である史綽がご挨拶いたします。ご機嫌いかがですか。(本籍は)広陵郡高郵県、字は澆瑜(ぎょうゆ)です」と書かれている。

 

越後谷 環境で道具や武器が変遷していくというのが印象的でした。実はゲームでは表現できていないので、そういう細かい部分も取り入れられれば、もっとゲームが奥深くなるんじゃないかなと思います。すごく勉強になりました。

 

 

―最後に三国志展の見どころを。

越後谷 史実に基づいてゲームを作っているつもりですが、まだまだ奥が深く、特別展「三国志」は新しい発見があって見応えがありました。すごく詳しい方でも間違いなく、新しい発見があると思います。また、三国志にあまり詳しくない方も、どちらも楽しめる展示になっていると思います。

鈴木 当時の“リアルさ”が感じられる展示品をはじめ、横山光輝さんの漫画「三国志」の原画やNHK「人形劇 三国志」で使われた人形などもあり、ノスタルジックさも感じられます。少しだけでも三国志の知識を入れて見ると、より一層展示が楽しめると思います。

 

特別展「三国志」は1月5日まで九州国立博物館で開催中です。

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