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「天神ビッグバン」の中核。 2025年春オープン、「ONE FUKUOKA BLDG.」でアート計画が進行中。

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アルトネ編集部
2025/01/27
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 日本でも最も活況を呈している福岡市・中央区の天神交差点の一角において、西日本鉄道株式会社が開発を進める「ONE FUKUOKA BLDG.」(略称:ワンビル)が、2025年4月24日、開業を迎えようとしています。

建築デザインは、米国大手建築事務所「Kohn Pedersen Fox Associates(KPF)」が担当。
「和」と「福岡」が融合した洗練されたデザイン。

 同プロジェクトは、「福岡ビル」「天神ビブレ」「天神コア」の3棟のビルを建替え、街区全体を1棟の大型複合ビルとして一体開発する「福ビル街区建替プロジェクト」としてスタートしたものです。 同ビルは、ポストモダンなデザインが特徴的で、世界各国で大型ビルの建築デザインを手がけている米国大手建築事務所「Kohn Pedersen Fox Associates(KPF)」が建築デザインを担当。8,600㎡の敷地面積を持ち、多様な機能を網羅した九州屈指の規模を誇る大型複合ビルです。現在準備中のビルの内外では、様々なアート計画も進行中と聞き、西日本鉄道天神開発本部 福ビル街区開発部の花村武志部長、日宇悟史課長に現在進行形のプロジェクトについてお話を伺いました。

(以下、敬称略)

ARTNE:
 九州で最も活気がある天神のメインストリートである渡辺通りと明治通りが交差する一角で、九州屈指の規模を誇る大型複合ビルとして生まれ変わる「ONE FUKUOKA BLDG.」(以後、ワンビル)には、さまざまなパブリックアートが展開されると聞いています。今回、アート作品を設置されるその理由をお聞かせください。

日宇:
 ワンビルは、「創造交差点 ~meets different ideas」というコンセプトを掲げ、開発を進めています。訪れる人々をワクワク、ドキドキさせ、新しいものを生み出し続ける場所にしたいと考える中で、新たな発見やクリエイティブな刺激を生み出す契機として、パブリックアートを展開していくことが決まりました。

ARTNE:
 具体的にどんなアーティストのどんな作品が設置されるのでしょうか。

日宇:
 この場を訪れる様々な人々が、アートを身近に感じ、親しんでもらえるような場にしたいとの願いを込め、鹿児島睦さん、ニコライ・バーグマンさん、レアンドロ・エルリッヒさん、舘鼻則孝さんの4人のアーティストに依頼しました。

 

エスカレーター横壁面を彩る さまざまな生きものたち

鹿児島睦(かごしま まこと)氏
作品イメージ(一部)

日宇:
 商業ゾーン(地下2階~地上4階)のエスカレーター横の壁面は、福岡出身の陶芸家・鹿児島睦さんのアートタイルで、約450㎡の壁面に様々な生きものを展開していただきます。
 地下には水中の生物がいたり、地上階では陸上の動物が描かれていたりと、フロアに応じた「生きもの」が展開されますので、その出会いも楽しんでもらえればと思います。

花村:
 鹿児島さんが初めて就職した会社は、かつて、旧福岡ビルにあった伝説的インテリアショップ「NIC」でした。インテリアやデザインという概念がまだ根づいていなかった時代に、ライフスタイルを提案した場として、今も語り継がれいる店舗です。 
 ワンビルでは、日常的にアートに触れることができる場を提供していきたいと思っていますが、鹿児島さんが作品を手掛けることで、天神地域にまつわる過去の記憶や、先人の精神をも引き継いでいけたらと思っています。
 ちなみに、NICのパッケージはシマウマがキャラクターでとっても人気があったのですが、鹿児島さんのアート作品でも、シマウマが登場します!

 

グリーンにまつわる 2つの街のランドマーク 

ARTNE:
 屋外にはどんな作品が展開されるのでしょうか。

ニコライ・バーグマン氏
©Nicolai Bergmann K. K.
作品イメージ(一部)
2022-THE FLOWER BOX
EXHIBITION IN DAZAIFUより

日宇:
 天神交差点のランドマークともなる北西側広場には、デンマーク出身のフラワーアーティスト、ニコライ・バークマンさんの大規模な作品《Future Bloom》を展開します。ニコライさんは、太宰府天満宮でのアートプロジェクトはじめ、福岡ともゆかりの深いアーティストです。
 今回のプロジェクトでは、約12メートル×約8メートルの大規模な緑化された壁面の中に、福岡や天神とゆかりのある梅の花をモチーフにしたステンレス製の作品が配置されたインスタレーションになっています。
 常緑のグリーンウォールがどのように育っていくか、繊細かつモダンなステンレスの作品がどのように映えるか、季節や時間に応じ変化する照明も合わせ、楽しんでいただける作品です。

レアンドロ・エルリッヒ氏
©Romeo Erlich
作品イメージ
©Leandro Erlich Studio
Swimming Pool
Photo:Keizo Kioku
courtesy: 21st Century Museum of Compemporary Art, Kanazawa

日宇:
 もうひとつの屋外作品、南西側広場には、国際的にも著名なアーティスト、レアンドロ・エルリッヒさんによる新作《Pixel Tree》を設置します。
 レアンドロ・エルリッヒさんは、金沢21世紀美術館の《スイミングプール》をはじめ、鑑賞者自らが作品に入り込み、錯覚を利用した体験型の作品を多く手掛けられているアーティストです。
 今回は、本物の街路樹と同様のサイズの樹木でありながら、生い茂る木の葉はピクセル形状といったアート作品となっています。
 「現実の自然界」と「身の回りに存在するバーチャル」を組み合わせた、現代を象徴する作品となっています。

花村:
 先日、《Pixel Tree》の制作の場にお伺いしたのですが、ピクセル(木の葉)の数は、約2,100ピースにもなるそうです!ピース自体も深い緑色であったり、黄色がかったものがあったり、色もサイズも本当に様々なバリエーションがありました。作品を囲む様にベンチも設置しますので、鑑賞の場にもなるのではないかと思います。

ARTNE:
 バーチャルの象徴である「ピクセル」が集合体をつくり、立体な樹木となるのですね。
 実際に作品として設置されたときに、どんな見え方になるのか、訪れた人がどのように感じてくださるのか楽しみですね。アートが設置されることで、待ち合わせ場所や写真スポットとなり、街や訪れる人にも、また新たなストーリーが生まれていきそうです。

 

「ONE FUKUOKA HOTEL」の伝統と現代性が融合するアート

舘鼻則孝(たてはな のりたか)氏
撮影:GION
過去作品
撮影:GION

花村:
 最後に紹介するアーティストは、ワンビル最上階、18・19階の「ONE FUKUOKA HOTEL」で約80点の作品を展開してくださる舘鼻則孝さんです。
 「ONE FUKUOKA HOTEL」は、内装デザインを中村拓志&NAP建築設計事務所*、運営を株式会社Plan・Do・See*が担当されています。そういったクリエイティブチーム、各分野のスペシャリストと相談し、伝統的な工芸の技法や素材を用いながら、現代的な作品を生み出している舘鼻則孝さんにお願いしようということになりました。

ARTNE:
「ONE FUKUOKA HOTEL」のデザインのキーワードのひとつに、太宰府に縁深い菅原道真公の存在、「天神さま」が挙がってきたというお話しを伺っています。そういった内装デザインのテーマが、舘鼻さんの作品づくりに反映されるということはあるのでしょうか。

花村:
 今プロジェクトで、舘鼻さんは「稲妻」をモチーフとした絵画作品シリーズ中心に手掛けてくださっていますが、それは、菅原道真公である天神さまが、雷神としてもあがめられ、米作りに必要な雨と水をもたらす、めぐみの神としても崇拝されていたという「天神信仰」にもつながっています。
 ワンビルが建つ天神エリアの歴史や信仰に由来する「天神さま」、そのデザインのキーワードとも通底する「稲妻」の作品が、舘鼻さんの手にかかるとどのようなアート作品になるのか、ご期待いただければと思います。

ARTNE:
 4人のアーティストのそれぞれの作品を紹介していただく中で、福岡や天神という街の歴史や特徴を踏まえ、まさにその場所だからこそストーリー性を持つアートが展開されているという印象を受けました。
 アート計画において、大切にされていたことがありましたらお教えください。

花村:
 今回、依頼した4人のアーティストは、過去に手がけられた作品やコンセプト等から、ワンビルでのアート展開でぜひお願いしたいと願った方々です。その上で、福岡という地域や、作品を設置する場については、事前に情報をお渡しし、コンセプトや思いを伝えた上で、作品を制作いただきました。

 ワンビルのコンセプトである「創造交差点」も、「アート」も、一人ひとりのとらえ方によって、さまざまな可能性や展開があるものだと思っています。
 そのいった中、天神を訪れた人々が、老若男女問わず、親しむことのできるアート作品、そして、新しい気づきや発見がありながら、人を幸せにすることができるパブリックアートにしたいと願い、それぞれのアーティストと、アート計画を進めていきました。
 私たちの拠点でもあるこのビルで、作品ひとつひとつが「この場」でこそ成り立つ、唯一無二のアート作品として、みなさんに愛されるものになればと願っています。

◇◇
 ワンビルのオープンは2025年4月24日。今回、お話しを伺ったパブリックアートの展開の他にも、東京・青山に次いで2店舗目、九州初進出となる「SPIRAL GARDEN」の出店(ギャラリー、ショップ、カフェを併設)、若手アーティストによる展開等、アートにまつわるさまざまな展開が進行中とのこと。
 福岡天神における「創造交差点」では、さまざまなアートが日常の中に息づき、生まれていく場となりそうです。

 

*NIC
1966年設立。岩田屋と西鉄の共同出資のインテリア・デザインを扱うショップ。 1999年解散。

*中村拓志&NAP建築設計事務所
2002年設立。自然現象や人々のふるまい、心の動きに寄り添う「微視的設定」を掲げ、ホテルや美術館、協会、公共施設等からまちづくりまで、新しい時代や文化をつくりだす建築を提案。日本建築学会賞(作品)(2021年)、アカシア建築賞(2016年)等受賞多数。主な実績に「上勝町ゼロ・ウェストセンター」や「東京プラザ表参道原宿」等。

*株式会社Plan・Do・See
1993年設立。国内外でホテル、レストラン、ウエディングを展開している企業。イノベーティブな社風で知られ「働きがいのある会社」ラインキングでは10年連続上位ノミネート。福岡では「WITH THE STYLE FUKUOKA」「THE LUIGANS SPA & RESORT」等を展開。

 

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