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ミロ展会場レポート 詩とともに楽しんで【寄稿】

2020/08/22 LINE はてなブックマーク facebook Twitter

 福岡県筑後市にある九州芸文館(芸術文化交流施設)では、20 世紀を代表するスペインの巨匠として、ピカソ、ダリと共に並び称されるジョアン・ミロ(1893-1983)の展覧会『スペインの巨匠 ミロ展―みてミロ!たのしんでミロ!』を開催中です。本展の会場レポートを福岡県文化振興課の関岡絵梨花学芸員に寄せていただきました。

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 彼は、故郷カタロニア地方の風土にこだわり、大地からインスピレーションの源泉を得て制作を行いました。また、自然との関わりを通して、太陽、月、星、鳥などを独特の抽象的要素に変換し、詩的な世界を繰り広げました。油彩をはじめ、版画、彫刻、陶器、壁画、タピストリー、舞台装飾まで幅広い制作活動を行いましたが、特に版画は35 歳で手掛けてから、生涯を通して精力的に取り組み、油彩と並ぶ彼のライフワークとなりました。その技法は多岐に渡り、複数の版画技法を組み合わせるミロ独自の混合技法でそれまでになかった新たな創造を目指し、2500 点以上の作品を遺しています。

 ミロは、フランスの女性詩人で作家のリーズ・イルツ(1898-1980)と共同制作した版画第一作目『一羽の小さなカササギがいた』(1928 年)を皮切りに、トリスタン・ツァラ(1896-1963)やジャック・プレヴェール(1900-1977)、瀧口修造(1903-1979)など、詩人と共同で詩画本を制作するようになりました。また、『金色の羽根を持つトカゲ』(1971 年)では、自身で詩と版画を制作するなど、ミ
ロの創作活動において詩は欠かせない存在だったようです。

 本展は、それらの作品や資料、スペイン内戦に際して制作された有名なポスター《スペインを救え》などを含む初期から晩年までの選び抜かれた全146 点を紹介しています。

 館内入口はミロ展の看板が目印です。隈研吾の建築や周辺の豊かな自然環境も魅力の一つ。

 会場前の看板は撮影可(*会場内不可)。ミロの肖像イラストと一緒に撮影できます。SNS 投稿も可。(イラスト・デザイン:河村美季)


 会場入口には、ミロによる新型コロナウイルス感染症拡大防止のためのお願いがあります。

 最後のお願いは「そしてなにより…たのしんでミロ!」(会場設営:ツカサ創研)

ミロの版画第一作目『一羽の小さなカササギがいた』(1928 年)展示コーナー。

『ジョアン・ミロ』(1956 年)展示コーナー。遊び心のあるミロ作品がたくさん楽しめます!
『金色の羽根を持つトカゲ』(1971 年)展示コーナー。
ジャック・プレヴェール(詩人、映画作家)と共同制作した詩画集『アドニッド』の展示コーナー。
 ミロが創作のインスピレーションを得ていた故郷、カタロニア地方(スペイン)の風景や街、人々の様子を紹介した映像コーナー。
(提供:カタルーニャ州観光局 協力:日本・カタルーニャ友好親善協会)

 『ミロの絵本 うっかり地球へ』(小学館あーとぶっく)などの著書で知られる絵本作家の結城昌子さんが、本展のために制作したオリジナル・ワークシート3 種類をプレゼント!

 ご来場が難しい方も、本展Webサイト(九州芸文館ホームページ内)からダウンロードできます。SNS 投稿も募集中!ミロになりきって、おうちでたのしんでミロ!

 会期中の関連企画、ワークショップ「キッチンリトグラフに挑戦してミロ!」。
キッチンにある身近な道具やコーラー、サラダ油といった素材を使って、版画技法の一つであるリトグラフを体験できます。

 8/23(日)にも開催予定です。詳細は本展Webサイトをご覧ください。
8/8(土)のキッチンリトグラフを体験している様子(ローラーを使って、版にインクをつけている工程)。
参加者がサラダ油とソリッドマーカーを使って、制作している様子。
参加者の版(下絵)。
版に、飲料のコーラーをかけている様子。みんな興味津々。
版にインクをのせている様子。
刷り具合はどうかな?
参加者の作品。


9/5(土)は、アクロス・ミュージアムコンサートを予定。ピアノとチェロによるスペイン音楽をご堪能ください。開催は9 月22 日(火・祝)まで、ぜひお越しください。

*新型コロナウイルス感染症の予防対策を講じるとともにご来場の際は感染拡大防止へのご協力をお願いします。また感染状況や都合により変更・中止する場合があります。最新情報はホームページ、公式Facebook をご確認ください。

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