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日本の女の子の夢と憧れ。「時代のアイコン」の足跡をたどる 誕生50周年記念「リカちゃん展」【レポート】

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アルトネ編集部
2018/03/02
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1967年に日本で誕生し、半世紀以上にわたって日本の着せ替え人形界のクイーンの座を守り続ける「リカちゃん」。その歩みをたどる「誕生50周年記念 リカちゃん展」が3月28日(水)まで、福岡市早良区百道の福岡市博物館で開催されている。
リカちゃんやその家族、友達など約580体の人形を、発売当時の時代背景やファッションと共に紹介。開発ノートやリカちゃんハウスなど約70点の資料、「SWAROVSKI」など有名ブランドや著名人50組によるコラボリカちゃんなどを展示している。少女時代のワクワク感を胸に、数十年ぶりにリカちゃんに会いに行った。

福岡市博物館のエントランスの奧に、実際に入ることができる「等身大パッケージ」を発見。まずはリカちゃんになりきって、インスタにアップしたい。

リカちゃん展へ足を踏み入れると、初代と4代目がお出迎え。展示会の構成は、「開発」「初代から現在までのファッション・ライフスタイル」「コラボ」に大きく分かれる。まずは「開発」からスタート。

左:初代リカちゃん、右:4代目リカちゃん

憧れのファッションと豊かなライフスタイル。「時代のアイコン」的存在で、いつの時代も女の子を夢中にさせてきたリカちゃん。その初代を作ったのは、当時のタカラの男性社員たち。「本当に日本の女の子の喜ぶ人形が作りたい」という理念の下、女の子にヒアリングし、日本の少女漫画のヒロインのような顔立ちの人形にたどり着いた。開発ノートには、髪の毛の生え際の薄さ、一重か二重かなど、地道な検証記録がつづられている。「ものづくりニッポン」の歴史も垣間見られる。

展示コーナー「フェイスとボディの変遷」でも、女の子のわがままな要望に応える日本のおじさんの気概を感じる。手・足・首・胴の可動域、微妙なボディバランス、ハイヒールを履かせられる足など、細かなマイナーチェンジが繰り返されている。
初代から4代目までの変化を見比べるのも面白い。4代目を初代と比べると、黒目がちで目力の強い初代に対し、4代目は目が大きく、瞳の輝きの数やまつげの位置で柔らかい印象に。顔は小顔になり、鼻筋が通り下唇がぷっくりとして「愛され顔」に変化している。

リカちゃん最大の魅力は、時代を反映したファッション! 音楽家の父とファッションデザイナーの母のもとに生まれた11歳のリカちゃんは、当時最先端のファッションに身を包んでいる。まさに時代のアイコン!
展示会場の多くは、カラフルな衣装をまとったリカちゃんで埋め尽くされている。サイケ、ヒッピー、カントリー、コンサバ、現代になるとロリータ、ストリートなど、50年分のオシャレの歴史が時系列で丸わかり。

キャラクター界の重鎮、サンリオの「リトルツインスターズ」「ハローキティ」ともコラボ(左から2番目、3番目)。

シリーズには、人形、洋服、アクセサリーの他に、家や店などを模した「ハウス」がある。子どもの頃、ほしいおもちゃはたくさんあっても、買ってもらえる機会は、誕生日などのイベント時にしかない。ハウスまでそろえている子は、周囲ではわずかだった。会場では、ハウスをのぞき込んでいた40代とおぼしき女性が「医者の子どもの家にはあって、うらやましかった~」と叫んでいた。見知らぬ人と思い出が共有できるのも、リカちゃん展ならでは。

最近のものは豪華。エレベーター付き。
 

中には、リカちゃんの世界観とは遠く感じる不思議なハウスも。「ラーメン一番」は、どれほどの女の子の心をつかんだのだろう?
 

展示の最後を飾るのは、50周年を記念したコラボリカちゃん。おなじみのキャラクター、ブランド、企業がズラリ。
くまモンの顔、怪しいけど本物だモン。

スワロフスキーのキラキラがレフ版効果? 肌の白さが際立ち、かわいさ2割増し。

博多織の着物姿のリカちゃんは、福岡会場限定。

会場入り口横には、グッズの販売コーナーも。リカちゃん展限定のクリアファイル、タンブラー、Tシャツ、メモ、バッグなど。

「このドレス、似合ってるかな?」どこで使ったらいいのか分からないけど、かわいいマスキングテープ。限定商品に限らず、ついいろいろ買ってしまいそう。なお、商品の数には限りがあるので完売の可能性も。

リカちゃん展は、胸を熱くしたかつての女の子、親子、家族はもちろん、男性にもオススメしたい。女の子の世界に汗をかいた男たちの物語でもあるのだから! 「誕生50周年記念 リカちゃん展」は3月28日(水)まで好評開催中。

© TOMY

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