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史上初の「富野由悠季の世界 」展はやめた方がいい!?【記者発表会レポート】

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アルトネ編集部
2019/05/10
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福岡市美術館を皮切りに全国(ただし首都圏での開催予定は今のところなし!)を巡回する「富野由悠季の世界」の記者発表会がおこなわれました。富野由悠季監督も登壇したこの記者発表会についてレポートいたします!

富野由悠季監督

富野由悠季監督と言えば、『機動戦士ガンダム』(1979年)、『ガンダム Gのレコンギスタ』(2014年)などの「ガンダム」シリーズの他、『伝説巨神イデオン』(1980年)、『聖戦士ダンバイン』(1983年)といった数多くのオリジナルアニメーションの総監督を務め、国内外のアニメシーンに多大な影響を与えてきました。いわゆる「ガンダム展」やアニメーター、デザイナー個人に焦点を当てた展覧会はあったものの、いまだかつて富野監督のこれまでの仕事を回顧する展覧会は開かれてきませんでした。本展は、アニメデビューから55年となる富野監督の仕事を満を持して回顧、検証する初の展覧会なのです。

『機動戦士ガンダム』  ©創通・サンライズ
『The IDEON(伝説巨神イデオン)接触篇・発動篇』
イメージイラスト(富野由悠季)©サンライズ

 

担当学芸員たちの並々ならぬ熱意で実現した「富野由悠季の世界」は、福岡、兵庫、島根、青森、富山(詳細発表前のため学芸員の登壇はなし)、静岡会場それぞれの美術館学芸員がチームとなって展覧会企画に当たっています。学芸員の皆さんには、少年時代のスケッチから「ガンダム Gのレコンギスタ」まで富野監督の作品が割り振られ、各作品を各々で研究し、その作品の何をどのように展覧会で伝えていくか検討しているそうです。

少年時代の貴重なスケッチ
「宇宙船」(富野由悠季、1954年)
左側が企画チームの皆さん。6館にもおよぶ美術館をまたいで学芸員が前のめりに関わる展覧会は、実は奇跡的と言ってもいいのでは?

代表して、第一会場となる福岡市美術館学芸係長の山口洋三氏より展覧会の構成について説明がおこなわれました。6つのパートに分かれており、その中でも特にスペースを割いて紹介する予定なのが「機動戦士ガンダム」「伝説巨神イデオン」「∀ガンダム」「ガンダムGのレコンギスタ」とのこと。

【展示構成】
第1部 宇宙(そら)へあこがれて

海のトリトン/勇者ライディーン/無敵超人ザンボット3

第2部 人は変わってゆくのか?
機動戦士ガンダム/伝説巨神イデオン

第3部 空と大地の間で逞しく
無敵鋼人ダイターン3/戦闘メカ ザブングル/OVERMAN キングゲイナー/ラ・セーヌの星/しあわせの王子/闇夜の時代劇・正体を見る

第4部 魂の安息の地は何処に?
聖戦士ダンバイン/ガーゼィの翼/リーンの翼/重戦機エルガイム

第5部 刻の涙、流れゆくその先へ
機動戦士Zガンダム/機動戦士ガンダムZZ/機動戦士ガンダム 逆襲のシャア/機動戦士ガンダム F91/機動戦士Vガンダム/ブレンパワード

第6部 大地への帰還
∀ガンダム/リング・オブ・ガンダム/ガンダム Gのレコンギスタ

「ガンダム Gのレコンギスタ」
©創通・サンライズ

展示品の総数は1,000点超!それでも絞りに絞っているそうです。基本構成は共通しますが、各会場で少しずつ異なるとのこと。富野監督の貴重な資料を網羅してみるために、6会場コンプリートする猛者も登場するのでは...?

また、作品ごとに担当が違うため「バラエティに富んだ展示になるはず」だと自信をのぞかせ、「中には主人公を紹介しないくらい尖った切り口」の展示パートもあると青森県立美術館工藤健志氏も語ります。富野監督の初回顧展であるだけに留まらず、アニメの展覧会としても画期的で新しいものとなりそうでワクワクします!

そして富野由悠季監督も展覧会への思いを語ります。画面に出ているのは本展メインビジュアル。

事前に発表されていた本展に当たってのコメントで「展示するものなどはないのだからやめた方がいい」と述べていた富野監督。この日も「今からでもやめていい」と言いつつも、ふた周りも年の違う企画チームの学芸員たちへ「このような催し物の結果がどうなるかは想像がつかないけれども、(企画チームの)彼らは信じてやってらっしゃるということはわかる。それを目指していただいて、私はありがたいことに死にみやげにすればいいので、基本的には責任はないとして逃げ切ります(笑)」と手荒いエールをおくります。

さらに「アニメやマンガからはじまったものがひとつの文化として認められていった潮流のようなものがあるならば」と仮定した上で、「(それを)世の中に対してどういう風に広めていくのかということをお考えいただきたいと思います」とその場にいるメディアのみなさんの背筋が伸びるようなお言葉も。そして「これ以後のメディアが果たすべき役割とか、どういうコンセプトでどういうメッセージを伝えなければいけないのかということを考える少なくとも課題みたいなものはこの『富野由悠季の世界』は含んでいるのではないか。」と続けます。

そして「巨大ロボットアニメというものであっても、本来そういうメッセージ性、ドラマ性を含むことができるのだということは、実験的かもしれませんけれども自分なりにやってきたつもりです。

そういうようなところをこの催し物に来てくださる方が読み取って、新しい生き方の方向性を発見していただければありがたいと思います。その礎になるような展示であってくれたらいいなという風に『富野由悠季の世界』は望んでおります。」と来場者へのメッセージで締めくくられました。

 

富野由悠季監督と企画チームのみなさんの表情を見ると、さらに展覧会への期待が高まりますね!

第一会場となる福岡市美術館での「富野由悠季の世界」は6月22日スタート!会期中にはなんと富野由悠季監督が来場してのイベントも開催予定とのこと。記者発表会でも質問が飛んだが「決まり次第公式サイトで発表」だそう。我らがARTNEもいち早く伝えられるようスタンバイしておく所存です。

ちなみに福岡市美術館は1979年開館で今年40周年を迎えます。そして“ファースト”としておなじみの「機動戦士ガンダム」も1979年放映ですので同じく40周年。メモリアルな展覧会をお見逃しなく!

©手塚プロダクション・東北新社 ©東北新社 ©サンライズ ©創通・サンライズ ©サンライズ・バンダイビジュアル・バンダイチャンネル ©SUNRISE・BV・WOWOW

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