九州、山口エリアの展覧会情報&
アートカルチャーWEBマガジン

ARTNE ›  FEATURE ›  レポート ›  藤子不二雄Ⓐ氏のブラックユーモア・ワールドに“ドーン!” 「藤子不二雄Ⓐ展」【レポート】

藤子不二雄Ⓐ氏のブラックユーモア・ワールドに“ドーン!” 「藤子不二雄Ⓐ展」【レポート】

Thumb micro 6693de0621
大迫章代
2019/08/08
LINE はてなブックマーク facebook Twitter

「忍者ハットリくん」「怪物くん」「笑ゥせぇるすまん」など、子供から大人まで、その作品を見たり読んだりしたことがない人はいないと言い切っても過言ではないほど数々の名作漫画を送り出してきた、マンガ界の生きるレジェンド、藤子不二雄Ⓐ氏。西鉄ホールで8月18日(日)まで開催されている「藤子不二雄Ⓐ展 ーⒶの変コレクションー」は、氏のバラエティ豊かな創作世界にふれることができる、全展示撮影OKの展覧会だ。この展覧会のレポートと、内覧会のため福岡を訪れた同氏のインタビューを2回に分けてお届け。

会場に入ると、ブラックスーツでビシッとキメた藤子不二雄Ⓐ氏の等身大フィギュアがお出迎え

 

おなじみ“ドーン”のポーズ。見よ、このリアルさ

入ってすぐのところにあるのが、「笑ゥせぇるすまん」の「Bar 魔の巣」。「笑ゥせぇるすまん」は、ご存知、日本漫画界に“ブラックユーモア”という新ジャンルを切り開いた藤子不二雄Ⓐ氏の代表作。不気味な笑顔を浮かべる喪黒 福造(もぐろ ふくぞう)に見守られつつ、いざ、藤子不二雄Ⓐ氏の「変」ワールドへ。

「オーッホッホッホッホッ…」という喪黒 福造の笑い声が聞こえてきそう

最初の展示[トキワ荘ゾーン]では、藤子不二雄Ⓐ氏が上京して間もないころの部屋を完全再現。ご存知の方も多いと思うが、トキワ荘とは、手塚治虫が入居していたことから、彼を慕う藤子不二雄(藤子・F・不二雄、藤子不二雄Ⓐ)、石ノ森章太郎、赤塚不二夫ら、戦後の日本漫画界を牽引する漫画家が次々と入居し、創作活動を行っていたことで知られる“漫画の聖地”とも言える木造アパート。藤子不二雄Ⓐ氏は相棒、藤子・F・不二雄氏と共に、1954~61(昭和29~36)年までここに入居していた。壁には、当時の貴重な写真や、いまはなきトキワ荘の壁に書かれた二人のサインも展示されている。

再現されたトキワ荘の部屋。この4畳半の部屋には実際に上がることができる

 

2人の直筆イラストとサインが入ったトキワ荘の壁。1982年、トキワ荘は老朽化により解体された

ここから藤子不二雄Ⓐ氏の作品世界をより深く楽しむために、藤子Ⓐ氏に関する基礎知識を簡単におさらい。藤子Ⓐ氏は、富山県の高校時代に同級生、藤子・F・不二雄氏と1951年にコンビを結成し、上京。コンビを解消する1987年まで、藤子不二雄名義で作品を発表していた。当初は、同じ作品を共同執筆していたが、やがてそれぞれのカラーを尊重し、個別に漫画を描いては、藤子不二雄として発表していたそう。ちなみに2人の最後の共同執筆作品は「オバケのQ太郎」。その後、藤子・F・不二雄氏が「ドラえもん」や「パーマン」、藤子不二雄Ⓐ氏が、「忍者ハットリくん」や「怪物くん」などを生み出した。藤子不二雄作品は、子供向けから大人向けまで、幅広くてバラエティ豊かだとは思っていたが、その多彩さ、そして不条理でブラックな辛口の世界観を多くつくり出していたのは、藤子不二雄Ⓐ氏だったのだ。

それでは、さっそく具体的な展示を通してその作品世界を見ていこう。
 [ポップゾーン]では、コメディ&スポ―ツジャンルの代表作「怪物くん」「忍者ハットリくん」「プロゴルファー猿」を通して、藤子不二雄Ⓐ氏の「明るい」漫画世界が楽しめる。

人気キャラクターのカラフルなボードの前で写真を撮れる

次に、藤子Ⓐ氏のレジェンドたるゆえんがよく分かるのが[ブラックユーモアゾーン]。「笑ゥせぇるすまん」「黒ベエ」「魔太郎がくる!!」など、そのダークで不条理なブラックユーモアのセンスは、時代を超えても古びない斬新さ。その代表作のワンシーンが、壁一面にずらり。貴重な短編集の原画も飾られていて、1つ1つ、じっくり読み込みたくなる

藤子不二雄Ⓐ氏のブラックな漫画世界。再現された藤子Ⓐ氏のデスクもなにやら不気味な雰囲気を醸し出している


 

フラッシュを当てて撮影すると、絵が浮かび上がるマジックフレーム
漫画のカットを編集して作られた短編映像を上映。「明日は日曜日、そしてまた明後日も…」(1971年)は、50年近くも前に描かれたとは思えない、現代的な社会風刺漫画だ

 

「笑ゥせぇるすまん」のコーナーでの記念撮影は必須。まるで漫画世界に入り込んだよう~


[Ⓐの変コレクション]では、藤子不二雄Ⓐ氏が集めた骨とう品など、作品にも登場する「変」なアイテムの数々や、貴重なスケッチ、キャラクターグッズなどを紹介。造形家・竹谷隆之氏デザインの「シルバークロス」の衣装や、影絵作家・河野里美氏によるカラフルなコラボ影絵作品も展示されている。

藤子不二雄Ⓐ氏が作品のインスピレーションを受けたという、ちょっと奇妙なアイテムがいっぱい

 

タッチの幅広さをうかがえる藤子Ⓐ氏の若い頃のスケッチ

最後は、本展覧会のスペシャルショップ「怪奇や」で展覧会限定グッズをチェック。キャラを織り込んだ九谷焼の豆皿や、インパクト大な「魔太郎がくる!!」のスケートボードなど、奇妙なコレクションがそろっているので、見ているだけでも楽しめる。

ここでしか手に入れられない限定アイテムがそろうスペシャルショップ「怪奇や」


画像はすべて、ⓒ藤子スタジオ。

おすすめイベント

RECOMMENDED EVENT
Thumb mini 0b28d371d8

松浦史料博物館開館70周年記念・九州国立博物館開館20周年記念特別展
平戸モノ語り ─松浦静山と熈の情熱

2026/01/20(火) 〜 2026/03/15(日)
九州国立博物館

Thumb mini 9a697c3afa

ブルックリン博物館所蔵 特別展 古代エジプト

2025/12/13(土) 〜 2026/03/08(日)
福岡市美術館

Thumb mini 57935b3824

企画展「浦川大志個展 スプリット・アイランド」 作家によるギャラリートーク

2026/02/07(土)
福岡市美術館 2階 近現代美術室B 企画展「浦川大志個展 スプリット・アイランド」展示室内

Thumb mini d88abbac2c
終了間近

創刊50周年記念
花とゆめ展 in 熊本

2025/12/06(土) 〜 2026/02/08(日)
熊本県立美術館

Thumb mini 16fffe5451
終了間近

「木梨憲武展-TOUCH」
SERENDIPITY-意味ある偶然

2025/12/20(土) 〜 2026/02/08(日)
佐賀県立美術館

他の展覧会・イベントを見る

おすすめ記事

RECOMMENDED ARTICLE
Thumb mini f2d8725ea5
レポート

思わず「へえー」とうなりたくなる 九州国立博物館特別展「平戸モノ語り」で見るしかない3つのコレクション

Thumb mini 0e338b87cf
レポート

エヴァンゲリオン史上最大級の展覧会 初公開のセル画、原画等700点以上を展覧 社会現象となったアニメ、そのクリエイションの迫力を体感する

Thumb mini fe19325813
レポート

平戸松浦家・藩主親子の個性際立つコレクション 記録に見るほどばしる想い、後世につなぐ‟モノ語り“ 1月20日 九州国立博物館で開幕

Thumb mini 27b352ef2c
レポート

北九州市立美術館で「鉄と美術」にまつわる展覧会。産業と芸術文化が交差するまちの歴史 出来事、作品、人々の熱量がここに

Thumb mini 58d282a640
レポート

1300年にわたる大分の名宝を知る 開館10周年記念「きらめく日本美術 1300年の至宝」年末年始も開館

特集記事をもっと見る