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2年ぶりの開催「チームラボ 福岡城跡 光の祭2019-2020」へ行ってきた!【レポート】

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伊勢田美保
2019/12/19
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2001年以降、国内外で多くのデジタルアート作品を披露、そのたびに話題をさらってきたチームラボ。プログラマやエンジニア、数学者などさまざまな分野のプロフェッショナルが集結したウルトラテクノロジスト集団が、今年も福岡城に光とデジタルアートの魔法をかけにやってきてくれました!一昨年に続き2回目の開催となる本展。新たな作品も展示されたと聞き、これは気になる!ということで、さっそく行ってきました。

呼応する木々と自立しつつも呼応する生命/Resonating Tree and Autonomous Resonating LifeteamLab, 2017, Interactive Digital Installation, Endless, Sound: Hideaki Takahashi

 

卵形の物体は色を変えながら、それぞれのカラーの音色を奏でます。

大天守台跡の眼下、木々が静かに立つ広場を大きく使った作品《呼応する木々と自立しつつも呼応する生命》の主役は、多彩なカラーを発する無数の卵形の物体。手で触れると色が変わり、波紋状に周りの卵や木々、さらには福岡城の石垣《呼吸し呼応する石垣-石城跡》へとその光を伝えていきます。一昨年にも同様の展示はありましたが、今年は卵の数が大きく増え、密度が高いです。さらに歩くと、2年前にはなかった大きな卵の密集したエリアを見つけました。

自立しつつも呼応する生命の森/Forest of Autonomous Resonating LifeteamLab, 2018, Interactive Installation, Endless, Sound: Hideaki Takahashi

 こちらが、今年新しくお披露目された展示の1つ、《自立しつつも呼応する生命の森》です。広場に点在する他の卵と比べても一回り大きな卵たちに、思わずす〜っと体が吸い寄せられて行きました。中は、まさに卵の密集地帯。ひとたび迷い込めば、方向もわからなくなるほど没入感があります。弾力をもった物体は、人が押すとグラリと揺れ、自分や周りの人が動かした卵と卵の間に体がサンド!まさにアートの一部になった感覚で、自然と笑顔になります。アスレチック感満載の卵の隙間を縦横無尽に走り回る子どもたちも、とっても楽しそう!


しばしアートとの一体感を堪能したら、卵の点滅する美しい広場を抜け、大天守台へと足を進めます。

《石垣の追われるカラス、追うカラスも追われるカラス-石城大天守台跡》

大天守台の展望台へ向かう階段の下、一昨年は空書が緩やかに流れていた石垣には、新たな展示が。ランダムに積み上げられた石垣の上を、神の使いである八咫烏(やたがらす)が追いかけっこをして、その尾からは漆黒の軌跡が流れていきます。どこからか「航空ショーみたい」と聞こえてきましたが、まさに!尾からのびる軌跡は、積み上げられた石と石の隙間の暗い影と交わり、「福岡城の悠久の歴史と現代のテクノロジーの融合」を表しているそう。なるほど。石垣と、疾走感ある音楽に乗って飛び回る八咫烏の競演に、ググッと引き込まれました。

 

そして大天守台跡の展望台へ。
遠くに灯る街のイルミネーションと、広場に息づく光のアートが一望できるこの景色は…やはり圧巻です!

一昨年より卵の数が増え見応えが増した広場。写真奥の黄色く光っているところが、卵の密集エリアです。

木々の存在が情緒を感じさせるいつもの景色も、アートな光の相乗効果で一層趣深く感じられます。人が触れるたびに色が変化する卵はまるで、呼吸しているみたい!卵の密集したあたりを眺めながら、「あそこ楽しかったね、また行こうか」なんて親子の会話も聞こえてきました。その気持ち、わかる!


さて、展望台からの景色を存分に目に焼き付けたら階段を降り、順路に沿ってぐるっと奥の石垣へと進みます。

《大天守台跡の石垣に住まう花と共に生きる動物達》

一昨年の冬に出会った、花でできた動物たちに再会です!全長約60m、高さ10mにもなる城壁をゾウやライオンが行き交う姿は、ダイナミックの一言。そして人が前に立つと花びらとなって散っていく姿がとっても儚いんです。こちらの展示は一見、一昨年と同じに見えますが、実は全く同じではないそう。投影をより鮮やかにして、動物たちも骨格をなくし「花でできた動物」というコンセプトを鮮やかに表現したと聞きました。少しずつアップデートされているので、二度目の来場でも十分楽しめます!


ひまわりやガーベラなど、色とりどりの花で形作られた動物たちの美しさに浸っていると、ふと後ろのテントの賑わいに気付きました。ここは《お絵かき黒田官兵衛》。今回初の展示です!

福岡の礎を築いた黒田官兵衛と、官兵衛にゆかりのある歴史上の人物たちをお絵かきしてスクリーンに投影できます

前方には大きなスクリーンがあり、さまざまな衣装をまとった武将たちが歩き回っています。手でタッチすると名言を喋ったり、時には音楽に合わせてノリノリのダンスも!実はこれ、すべて来場者が描いた絵なのだそう!お絵かき専用机に用意されたイラストにクレヨンで色を塗り、その場でスキャン、すぐにスクリーンに映し出しているそうです。驚くことに、今描いたばかりの絵なのに、目や口なども動くんですよ。不思議〜!子どもたちも自分の書いた絵が自由に動き回る姿に、嬉しそう。初めて会った子と塗り絵を見せ合いっこして、その絵同士が画面で「こんにちは」なんてのもありそう。年齢制限がないので、大人も一緒に楽しめるのがいいですね。

ちなみに取材当日は中に入りきれないほどの人気ぶりで、会場内で一番混み合っていたのがこちらのブースでした。石垣の動物たちの展示のすぐ近くなので、人の波が引いた時を狙って訪れるといいかもしれません。


展示の最後には、一昨年見た「空書」が別の石垣で表現されていたりもして、2年前を懐かしく思い出しながら巡ることができました。

《石垣の反転無分別-石城跡》回転する空書は同一方向に回転しているけれど、右回りにも左回りにも見えるのだそう(私は右回りにしか見えませんでした…)。

大人向けの美しい風景ももちろんありますが、特に今年は卵の中に入っていけたり、お絵描きが映し出されたりと、より参加できるアートが増えた印象です。今から約400年前に築かれたお城の歴史に、現代のアートがコラボした特別な風景が見られるのは今だけ。寒い季節ですが、思い切って外に出て、子どもも大人もみんな一緒にアートを楽しんでみませんか?開催は2020年2月2日(日)まで。

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