
OPAM開館10周年記念
LINKS―大分と、世界と。
2025/04/26(土) 〜 2025/06/22(日)
10:00 〜 19:00
大分県立美術館(OPAM)
2025/05/18 |
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大分県立美術館(OPAM)では、現在、開館10周年記念して「LINKS―大分と、世界と。」が開催されています(6月22日まで)。日本画、洋画、前衛美術の名品がずらり揃う本展の名品の中から、前篇は、「近代洋画家の父」黒田清輝とも関係の深い、大分出身の藤雅三を紹介くださっています。
(後半をよむ)
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大分県立美術館は2015年4月24日に開館し、この春10周年を迎えました。現在開催中の記念展第一弾「LINKS―大分と、世界と。」では、当館のコンセプト「出会いと五感のミュージアム」にちなみ、近現代美術における作家同士の交流や作家と作品との「出会い」をたどる内容となっています。
洋画の章では、初期洋画からモダニズム、日本におけるピカソ受容、さらに大分ゆかりのアヴァンギャルド「ネオ・ダダイズム・オルガナイザーズ」まで幅広く展示しています。今回は本展の最初の1点である、大分県臼杵市出身の洋画家、藤雅三の《フランス風景》(東京国立博物館所蔵)についてご紹介します。
この人物は、「日本近代洋画の父」として有名な黒田清輝を洋画の道に導いた一人とされています。藤は1853年に臼杵に生まれ、民陶で絵付けを行いました。また南画家の帆足杏雨に師事し、「藤米岳」と号して南画や花鳥画を描きました。1876年に上京し、彰技堂に入塾後まもなく工部美術学校へ入学。フォンタネージに学び、画才を発揮します。1885年に工部省留学生として渡仏した後、前年に法律を学びにパリへ来ていた黒田清輝にフランス語の通訳を依頼したことをきっかけに、親交を深めます。黒田、藤、そして久米桂一郎の三人は、親しく美術館や写生へ出かけるようになりました。藤の《フランス風景》はこの頃の作品であり、国内に現存する藤の唯一の油彩画です。
次第に絵画の道への思いをつのらせていった黒田に、藤の他、美術商の林忠正と山本芳翠が画家になることを薦め、黒田はついに親元へ画業修業を決心する手紙を送ります。その後の黒田のサクセスストーリーはひろく知られているところです。黒田は久米と共に白馬会を設立し、東京美術学校西洋画科の指導者として、日本における近代洋画の発展に貢献しました。藤は黒田や洋行の画家たちが師と仰いだラファエル・コランにいち早く師事した日本人でもあり、藤と黒田の出会いがなければ、黒田がコランにみる外光派表現を日本へ持ち帰ることもなかったかもしれません。そう考えると藤は日本の近代洋画史にとって軽視できない存在といえるでしょう。
本展序盤ではこのように師弟関係や血縁関係を含めた人的交流をご紹介しておりますが、続くコーナーでは、離れた地域の作家が対面せずとも、同時代的に作風が共鳴し合ったことを深堀していきます。例えば、モネやセザンヌといった印象派や後期印象派が日本に伝わったことで、日本の洋画家たちも次第に視覚的実験を進めました。
東郷青児の《パラソルさせる女》はわずかに読んだウンベルト・ボッチョーニの書物や、山田耕筰らから教えられたイタリア未来派の知識をもとに描いたという、日本のモダニズムの金字塔的作品です。
さらに、ダダイズム、キュビスム、シュルレアリスムなど、西洋の影響下で日本の画家がいかに呼応していったかを、大分ゆかりの作家を交えながらご紹介しております。
ぜひこの機会に名品の数々をOPAMでご堪能ください。
木藤野絵(大分県立美術館 主任学芸員)
OPAM開館10周年記念
LINKS―大分と、世界と。
日時:2025年4月26日(土) 〜 6月22日(日)10:00 〜 19:00
※金曜日・土曜日は20:00まで(入場は閉館の30分前まで)
※5月22日(木)は休展日
会場:大分県立美術館(OPAM)
料金:一般 1,400円、大学・高校生 1,200円
主催:公益財団法人大分県芸術文化スポーツ振興財団・大分県立美術館
問い合わせ:TEL097-533-4500
詳細は下記リンクより公式HPにてご確認ください。
公式HPはこちら
2025/02/08(土) 〜 2025/05/18(日)
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2025/02/08(土) 〜 2025/05/18(日)
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2025/04/12(土) 〜 2025/05/18(日)
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