日伊国交樹立150周年記念
世界遺産 ポンペイの壁画展
2017/04/15(土) 〜 2017/06/18(日)
09:30 〜 17:30
福岡市博物館
アルトネ編集部 2017/06/01 |
福岡市博物館で6月18日まで開催中の「世界遺産 ポンペイの壁画展」について、西日本新聞朝刊に連載された、漫画家のヤマザキマリさんが語る壁画と古代ローマの魅力をお伝えする第3回目・最終回です!(編集部)
ベズビオ山(イタリア)が噴火し、ポンペイが壊滅したのは2千年前。日本列島で稲作が始まるか始まらないかの頃に、古代ローマでは優れた技術で絵が描かれていたのには驚くばかりです。
中でも「テセウスのミノタウロス退治」の絵師はデッサン力が相当あることが分かる。中途半端は好きじゃなかったのでしょう。「これぐらいでいいや」というごまかしがない。うまいなと思います。「(15世紀の画家)ラファエロの工房の人が描いた」と言われれば、きっと信じちゃいます。現代でも、これだけ迫力のある人物画を描ける人はなかなかいませんよ。
私がイタリアのフィレンツェで絵の修行をしていた頃、人物のデッサンを死ぬほど描いたので、絵でも漫画でも基礎画力があるのかに注目してしまう。基礎画力がある人ならば「もっとこの人の絵を見てみたい。他にどんな絵を描いたのだろう」と思うけど、限界が見える人は「もういいです」となってしまう。この絵師は間違いなく素晴らしい。その後、このような絵を描ける人がいなくなる暗黒の時代が続いたんです。
14世紀、ルネサンスが始まった。古代ローマの発掘品に衝撃を受け、絵でも彫刻でも建築でも高度な技術表現の練習をするようになった。ラファエロやミケランジェロ、ダビンチら巨匠は、自分の作品について「すごいよね」と、それなりの自負があったと思うんですよ。でも彼らはポンペイの遺跡を見ていなかった。発掘が始まったのは18世紀ですから。「テセウスのミノタウロス退治」を見ていたら、驚きのあまり、あごを外していたでしょうね。と同時に、背景や建造物などの考証も深められただろうし、今のどんな表現者もかなわないような完成度の高い作品を残していたかもしれないなあ…なんてことを思ってしまいます。(談)
=5月12日西日本新聞朝刊に掲載=
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