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《junaida展「IMAGINARIUM」》想像と創造 junaida展㊥ 絵本の可能性を広げて 長崎県美術館【コラム】

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アルトネ編集部
2024/08/08
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「街どろぼう」原画(福音館書店、2021年)©junaida 2022年

 junaidaさんと仕事をした最初の絵本「Michi」は、「道」をたどり、読者も絵本の世界を旅することができる字のない絵本でした。2作目の「の」では、日本語の助詞「の」に注目し、言葉の面白さ、不思議さが絵でも見事に視覚化されています。次の「怪物園」では、オーソドックスな絵本の構造をとりつつ、ズームや引きといったカメラを思わせる構図や、色彩の変化を巧みに使った絵とともに、二つの物語がダイナミックに交錯します。
 このようにjunaidaさんは、新作のたびに過去の自分の作品をなぞることは決してせず、常にこれまでとは違った表現に挑戦し、絵本の可能性を広げていきます。それは文章のあるなしや、物語の展開といった絵本の構造に関わる部分だけでなく、絵の描き方においてもです。
 「街どろぼう」という作品は、まるで寓話(ぐうわ)のようなシンプルなお話ですが、色彩にあふれた他の作品とは異なり、限られた色数の絵によって、物語のトーン、そして登場人物の内面が表現されます。さらには、あえて絵筆のタッチを残すことで、見る者に空気の揺らぎや、その場所に過ぎていった時間といったものまでも感じさせます。 (福音館書店・岡田望)
       ◇   ◇

 人気の絵本画家junaidaさんによる初の大規模個展「IMAGINARIUM」が9月1日まで長崎市の長崎県美術館で開催中。絵本編集に携わった福音館書店の岡田望さんが作品の魅力を紹介。
       
=(8月2日付西日本新聞朝刊に掲載)=

 

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