「浦川大志個展 スプリット・アイランド」
2026/01/06(火) 〜 2026/03/22(日)
福岡市美術館
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山出淳也 2021/05/27 |
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世界には想像力が必要だ
初めて訪れる、言葉も通じない街の路地を歩いている。
電灯は見当たらない、真っ暗な道。次の曲がり角に何があるか、間違ってないか心細い。
何かに挑戦しようとするとき、決まってそんなことを考える。
僕にとってアーティストは、「世界には想像力が必要だ」ってことを思い出させてくれる存在だ。
アーティストはいつだって、僕の予測を裏切り、見たことのない世界に連れて行こうとする。経験から生まれる予測は、彼らにとって過去の風景でしかない。そんな風に、いつだって彼らとの話は平行線。思い通りにはならない。正直面倒だ。
見る位置によって、物事の姿は変わりうる。そして、同じ位置で見たとしても、別の誰かの感じ方が違うなんてよくある話だ。
人はそれぞれ別の人生を生きて、異なる時間を積み重ねる。その人、1人だけの時間だ。100人いたら100通りの世界がすでに存在している。100通りの異なる時間が、今この瞬間も流れている。
だとすれば、それぞれが見ようとする世界、生みだそうとするものは異なるはずだ。知識では埋められない、感性による産物であればなおさら、自分が過ごした時間からは生まれなかったもの。だから分からない。分からないから、遠ざけたい。過去に紐づいて考えても、処理できないじゃないか。
だからこそ、アートは、世界に必要なんだと信じている。
アートには答えなんてなくて、見る人の想像力の扉をこじ開けるもの。分からない、考えたこともない世界に連れて行ってくれる。よく分からないことは素晴らしい。だって、驚きや発見に満ちた世界がまだ残っているってことだから。
僕は、今かけがえのない仲間と旅をしている。
アーティストや地域の方、行政や企業の方。そして共に歩んでくれる大切なスタッフ。彼らと共に新たな挑戦の旅に、今日も帆をあげよう。
また近いうちに会いましょう。それまで皆さん、予測ができないこの世界、ご自愛ください。(やまいで・じゅんや=アーティスト、アートNPO代表。挿絵は鈴木ヒラクさん)=おわり
=(1月21日付西日本新聞朝刊に掲載)=
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