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【連載】山出淳也 アート、まちに出る 47

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山出淳也
2021/05/18
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地方に可能性はあるのか?

 以前、急成長著しいIT企業の代表に「企業誘致の声がかからないか」と聞いてみた。

 彼は開口一番こう言った。「地方都市の現状を考えるとよくわかります。だけど、僕たちはある特殊な技術を持つチーム。単体ではその可能性を活(い)かせない。だから今は繋(つな)がるべき創造力を持つ方々がいるところから離れられない。日本全体の成長を考えるとそのほうが良いと思う」

 同じような話はロンドンでも聞いた。「クリエイティブが世界を変える」というメッセージを掲げる組織の代表からだ。「シェアオフィスとして運営するこのビルは満室で、入居希望者が後を絶たない。将来性の高い彼らは、家賃の割引はなくても、ここに集うことが次のステップに向かう近道だと考えているんだ」

 それはなぜか?

 「ベンチャー企業の他に、クリエイターにもスペースを貸しているからだよ。人は新たなことを見つけたくても、過去の価値観から逃れることは難しいだろ。クリエイターやアーティストは自由なものの見方を提供してくれる。週末にはビル内のひときわ大きなフリースペースで、アーティストのイベントを行う。この辺りの地域にはイケてることに飢えている若い起業家がわんさかいる。客は彼らだけではない。イキの良い起業家に出会いたい人は誰かわかるかい? それは投資家だよ」

 都市とは商いの場であり、人や物が集中することで経済活動が活発化する。より多くの人々が集えるよう、土地を切り開き都市を拡大化させていく。

 しかしだからこそ、食料やエネルギーだけでなく、人材の産地である地方にも大きな可能性があるのではないか。そう思った。

 土地と密接に繋がる資源の新たな可能性を見いだすこと、ここに来なければ体験できないこと。われわれの感性を揺るがすような価値を地方から発信し、世界中の人々と結びつけることができたなら。

 現在の資源とは、土地に紐づく価値だけではなく、創造力も含まれる。目の前のいつもの風景を自由に観て、考えること。

 地方にこそ、創造力が必要だ。(やまいで・じゅんや=アーティスト、アートNPO代表。挿絵は鈴木ヒラクさん)

=(1月18日付西日本新聞朝刊に掲載)=

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